這う這うの体で逃げ帰る成田&キム兄。團室に残ったのは貫禄満点のさすらいの渡り鳥 小林旭と脇をがっちり固める清水健太郎とその配下という世にも物騒な集団であります。
余りにも浮世離れした展開を茫然と見守るしかなかったキムタク團員もここでハッと我に返りまして「マズい、こんな修羅場に若を巻き込んだ張本人としての責任を問われるかもしれない」という恐怖が沸き起こります。先ほどまでは往年のタイガー・ジェット・シン&上田馬之助並の凶暴極まりない成田&キム兄タッグチームを一刀の下に一蹴した、若様の伝家の宝刀がこちらに向けられても仕方のない状況であります。
とは申せ起死回生の解決策が思い浮かぶ訳もなく、腕組みをして考え込んだままのキムタク團員の方に大貫禄 旭が向き直ります。槍か矢が飛んで来るか、と思った刹那、旭は慇懃に会釈し、團員氏と正対する様にソファに腰かけ「ウチの社長が若にエエ友達が出来たらしいと喜んでおられるんや。社長に成り代わって礼を言わせてもらうで」と微笑みながら仰います。
「しかしあの騒然とした場面で眉一つ動かさず泰然自若の構えでデンと構えとるとは、さすがや」と固まって動けなかっただけのキムタク團員を褒める始末。「それに加えて自らの危険も顧みず友の窮地に飛び込むところはさすがに社長の若や」と勝手に感激する旭。
「成田の所の若い衆をブッ飛ばしたんやってなあ。元気があって結構、結構。これからも若の事をよろしく頼みます!」と言い残すと懐から財布を取り出し「若とおたくの若い衆と昼飯でも」と財布ごとキムタクに押し付け、ご機嫌に去って行く旭、満面の笑みで「何か困った事があったらいつでも呼んで下さいや」と名刺を置いて帰る健太郎、野太い声で「失礼します!」と團室を立ち去る千代大海、蝶野、Mr.T。
一陣の嵐が去った後の團室は妙に静かでありました。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会