香具師 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

年の瀬も迫り、そろそろ初詣について計画を練っておられる方も少ない事でありましょう。我が團でも活動中は、この時期は無論、休みでありまして、下宿生は帰省致します。実家から通う者もそれぞれの生活に戻るのでありますが、中には普段、バイトが殆ど出来ない為、アルバイトに励む剛の者もおります。


今でこそ正月でも様々な店が営業し、買い物や食事でも特に困る事はございませんが、一昔前は観光地でもない限り、店は悉く正月休みになっていたものでありまして、需要がない以上、バイトもそう多くある訳ではありません。その中、引く手数多だったのが香具師、俗に言うテキヤであります。


初詣に参拝しますと多くの神社での境内ではたこ焼きや焼きそば等を販売するテキヤと称される方を大勢、見る事が出来ますが、正月はまさに戦場の如き忙しさで、毎年、イキの良い若者の求人が絶えません。

関西には京都や奈良といった古都には初詣シーズンに参拝客が殺到する神社が多く、その境内には夥しい数の店が軒を連ねており、労働先を探すには苦労致しません。


さて、この稼業、正月の労働環境は実にハードで、初詣客が多い神社ではとにかく営業時間が長いのであります。大晦日は昼には出勤し仕込みのお手伝い、夜は21時くらいになりますと「初詣にならんやろう」と思うのでありますが、深夜12時を境に爆発的に増える参拝客を避けて参拝する人々が訪れ始めます。そして深夜12時に近づきますと恐ろしい数の人が殺到し、境内は朝まで人でごった返します。


夜も白み始め、酔った参拝客も減って参りまして、減ったネタの補充や店の清掃等なんぞをし勝手に「そろそろ休憩かな」と思っておりますと、朝も早くから観光バスがやって参り、朝一番の参拝客が押せ寄せる光景が目に飛び込み仰天するものでありました。かくしてそのまま元日の殺人的な忙しさの中に放り込まれそのまま夜遅くまで労働に勤しむ羽目に陥ります。


2年目3年目と続けて参ればそれなりに慣れて多少は楽にはなりますが、その過酷さは変わりません。「神農の道で修業する事は應援團道を極めるのにきっと役立つ」などとおだてられ、すっかりその気になった事を後悔しない訳ではありませんでしたが、その言葉にも一理ある事は確かでございます。


正月の神社を見るとそんな時間をふと思い出したりするのであります。



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八代目甲雄会広報委員会