消えた名店【6】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

7.喫茶「Pearl」

 

Pearlは三宮のセンタープラザ2Fにありました喫茶店であります。喫茶店は待ち合わせに、時間潰しに、ちょっとした打合せ等、利用目的は多岐に亘り、日常的に利用頻度が高い業種であります。

かつては岡本駅・摂津本山駅~大学に至る通学路には多数の喫茶店がありましたが、年代が下るにつけ、次々と姿を消しまして、今では数える程しかございません。

 

現在では摂津本山駅のすぐ北にあるSTARBUCKSが繁盛している様に見受けられますが、應援團が活躍している時代にはこのお店はございませんでした。山手幹線を挟んで斜向かいの現在はauショップになっている場所も以前は喫茶店でありまして、我が團の團員がよく見られたものであります。

 

三宮にも團員それぞれ好みの喫茶店がございましたが、見栄っ張りな幹部はエレガントなお店を好んだりします。さりながらいざお勘定の段になりますと、伝票をチラッと見て「なぬ?レーコー(アイスコーヒーの意)が800円??」と内心、仰天しながらも、長い團生活で身に付けたポーカーフェイスで支払いをするものでありました。

 

そんな訳にはいかない下級生は、JR三ノ宮北側や山手幹線にある「にしむら珈琲」はポピュラー過ぎて、先輩方に会わないとは限らず、隠れ家的な喫茶店を各々、開拓していたものでございます。

 

その一つが「Peral」でありました。我が團の團員以外は不良高校生がタバコなんぞを吹かしながら漫画を読んでいる様な雰囲気でありましたが、珈琲1杯で何時間、粘っていても嫌な顔一つしないマスターのご厚意に甘えておりました。

 

常連の不良高校生とも顔見知りになったりしまして「お前、今日もサボりか?」と自分の事は棚に上げて尋ねてみたり「お前は何年や?甲南を受けてみたらどないや?」と勧誘に励む感心な團員もおりました。

 

そしてこの店の最大の特徴は「ミンチピラフ」という何処でも食べた事がない謎のご飯物のメニューでありまして、和でも洋でも中でもない、筆者の主観で申し上げればチャプチェの味付けに近い気がしないでもないのですが、数十年前の味覚の記憶故、確かではございません。

 

こんもりと富士山の様な形に盛り上げられた茶色いご飯の上にミンチと半熟の目玉焼きと輪切りのピーマンが載っていた様に記憶致しております。これが抜群に美味いのでありまして、昼時ですと、どのお客様もまずこれを頼んでおりました。前述の通り客筋は我々を含め良いとは言えませんので、食べるとそそくさと帰る方が殆どでありますが、それでも昼は混雑しておりました。

 

この味覚は我々の主観だけではなかった様で、テレビの探偵ナイトスクープ で、この味を再現して欲しいという依頼 (2004年11月2日放送分)がありました。番組では「パールライス」となっておりましたが、同一の物の様でした。番組で幻の味を再現すべく手を尽くされましたが、「似た味」にしかならなかった様です。味覚の記憶は曖昧でありますので、再現は難しいでしょう。

 

番組でも触れられておりましたが、このお店はマスターがお亡くなりになり、閉店されております。よく利用していた團員達が引退してから程なくの出来事だった様でございます。あの味は幻のまま語り継がれる事でありましょう。

 

八代目甲南大學應援團OB会

広報委員会