消えた名店【2】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

昨日の「消えた名店 」書き進めるうちに途方もないボリュームになりましたので、続編をお届け致します。よく考えれば、既に営業していないお店ですので、何の情報発信にもなりませんが、過ぎ去った古き良き神戸の夜の匂いが伝わればと愚考致す次第でございます。

 

3.居酒屋「淡路屋」

知る人ぞ知る夜の名店であります。以前、ご紹介した「かつ丼吉兵衛 」さんがある三宮市場を更に元町方面に進み、エスカレーターに突き当たるすぐ手前にありました。
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深夜1-2時頃にオープン、朝10時頃までの営業であります。明け方になりますと、何処からともなく仕事を終えたお水の方々が集まって参りまして、ビール片手に肴を摘む店でございました。

三宮市場は三宮センタープラザ西館の地下にございますので、その時間は当然、普通には入れません。分かりにくい箇所にある業務用エレベーターに乗って行く必要がありまして、すんなり来れる方はなかなかの三宮通であります。

 

ここの名物はカレーでありましょう。学ランにこぼしても気付かない程の漆黒のカレーはびっくりする程、辛いのであります。まだ三宮歴が浅い下級生を連れて行ってはカレーを食べさせ、仰天するのを見るのが上級生の嗜みとされていました。

 

後、謎とされていたのは天ぷらで、何故か、一度、おでんの出汁に潜らせてから提供されるのであります。そのままの方が美味しいのに…と思った方は一人や二人ではない筈であります。この謎を解明した者は未だ居りません。

 

そして何と言っても最大の特徴は不明朗な会計システムでございます。人間の趣向はそう変わりませんので、毎回、大体、同じ様な品をオーダーするのですが、学年が上がる度に値段が高くなっていくのであります。

先輩に連れて行って頂いた時とほぼ同じ内容のものを、下級生同士で行った際に頼みますと、前回よりぐんと安かったりするのでございます。

百戦錬磨のお店の方は、團員の襟のバッジの色で懐具合を推し量っていたのでしょう。恐るべしであります。

 

更に、店に掛かってあるお品書きには、それぞれの商品に何百何十円と値段が設定されておりますが、お会計はいつも8000円とか5000円とか、小銭が活躍する事を許さないキリの良い金額でございます。常連であった三宮のとある店のマスター氏に尋ねても「あの店で小銭を使った覚えがない」と仰います。

どことなく憎めない、愛嬌がある老夫婦がやっておられた店でしたし、第一、客は朝まで飲んだくれている筋金入りの酔っ払いばかり、特にトラブルに発展したという話は聞きません。

 

数年前までは営業していた様でありますが、今では営業していないとの事、寂しい限りであります。

 

八代目甲南大學應援團OB会

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