本山村怪々奇團【9】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第9話 園芸團員

 

以前、ご紹介させて頂きましたが、かつて應援團は学食のお姉様方とは極めて良好な関係を築かせて頂いておりました。

甲南大学にある学友会館という現在、学内最古の建物は、1F大学生協購買部、2F学食、3F應援團團室、大学生協事務所という立地条件から、伝統的に生協の方とは親しくさせて頂いていたのであります。

なかんずく毎日、利用させて頂く学食の職員の方とは特に懇意でありまして、昼の練習が終わり少し遅めの昼食を摂るべく、学食で食券を購入し列に並んでおりますと、私共だけは漫画の様な大盛りで提供されたりするのであります。無論、前後に並んでいた学生は「同じ物を頼んでいるのに、この違いは何だ」とばかりに怪訝な表情をしますが、特に何か言われた経験はございません。

 

さて、ある日、かなり遅めの昼食をを摂るべく学食に登場した幹部氏。利用する学生の姿もまばらで、顔馴染みの学食のお姉様と世間話をしながら、食事を摂っておりますと、ある依頼をされたのであります。その内容とは、その職員の方がしばらく休暇をとって里帰りをされるとの事で、その間、その方が学友会館の裏でプランターで育てている花に水をやって欲しいというものでありました。普段、お世話になっている事を考えば、お安い御用であります。

 

早速、依頼元からお預かりした可愛いジョウロが團室の片隅に置かれ、1回生が集められ明日の当番から花への水やりが業務内容に加わったことを通達します。内容からして特に心配する必要もございません。

しかしながら突如、加えられた業務が定着するにはそれなりの時間を要します。当番は日替わりで人が変わりますし、当番者は結構、忙しく、ついつい忘れてしまう事があるのであります。

通達が出された数日後、依頼を受けた幹部氏が團室に寄る前にプランターを見に行きますと、案の定、プランターの土は干上がっております。日差しが強い季節でしたので、日々の水やりは欠かせません。

当番担当である1回生はもとより監督責任がある2、3回生にも全員、集合がかけられます。

「應援團だから間違いないと見込んで依頼されたという経緯を忘れるな。たかが水やりと侮るとは不届千万。我が團の威信にかけて葉1枚と言えども、枯らしてはならん」

とのきついお説教。我が應援團を好意的に見守って下さる方や支援して下さる方というのは極めて重要な存在でありまして、その意識は経験を積んだ上級生ほど高い傾向にあります。

下級生は奢られ癖がついておりますので、外部の方からの好意を当然の様に受けてしまう事がしばしばあり、上級生に奢ってもらうのとは意味合いが違う事をその都度、体得してゆくのであります。故にこの幹部氏のお説教、至極当然の事でありまして、良い教育の場であった事は確かでございます。

 

幹部氏の思いもよらぬ剣幕で事の重大さを知った下級生一同、早速、3回生が水やりを加えた当番者の実施項目を書き出し、チェック表を作成します。応援等の行事がなければ土日は当番はありませんが、葉1枚も枯らせられませんので、水やりの為に大学の近くに住む團員が対応する体制も組みます。こうなれば僅かな期間の事でもありますし、無事、事は推移する筈であります。

 

そろそろ依頼下さった職員の方がお土産片手に職場復帰されるであろう頃、幹部氏がプランターの様子を見に行きますと驚愕の光景を目にします。何とプランターの土に穴を穿つ勢いの激しい雨足の中、傘を差しながらジョウロで水やりをする團員の姿があったのであります。

確実に仕事をこなそうとする姿勢を評価し、幹部氏も敢えて怒る事はございませんでしたが、その心中、察するに余りあるものがございます。

 

八代目甲南大學應援團OB会

広報委員会