本山村怪々奇團【7】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第7話 理学部の男

 

現在、甲南大学には理工学部という学部がございます。我が校で最古の歴史を誇る学部の1つであります。昭和26年の建学時に文理学部として発足し、昭和32年に理学部として分離独立、そして平成13年には理工学部に改称し現在に至っております。理学部と呼ばれていた時期が長うございましたので、本稿では理学部と表現させて頂きたいと思います。

 

さて、この理学部、往時は学内唯一の理系の学部であり、偏差値も学費も他学部より少々高い傾向にありましたので、中には妙なエリート意識を持った團員が現れたりするのであります。

我が團では歴史的に法学部教授が顧問を務めておられた期間が長うございましたので、法学部の團員が多かった様に思いますが、法学部の同期がミスをしますと「所詮はアホウ学部やのぉ」と鼻で笑ったりするのであります。もっとも上級生にも多数、法学部の者がおりましたので、後でそれなりの制裁を受けるのでありますが。

 

理学部には実験と言う講義がありまして、我が團でもこの時ばかりはその前後に練習や團務があったとしても講義優先で遅れても良いという特例がございました。

「押忍、先輩、本日は実験でありますので、練習に遅れる可能性があります」

と申告し得意気に講義に赴く姿は実に小憎たらしいものがございました。また團室で会計担当の上級生が、ブツブツと呟きながら計算をして帳簿をつけている時などに、先輩の独り言に聞き耳を立て計算の答えを教えたがるのも理学部の團員でありまして

「何や、お前、計算が早いやないか」

と褒められると

「押忍、何と言っても自分は理学部でありますので」

と胸を張るのでございます。

 

とは申せ、所詮は我が校の理学部、馬脚を現すまで左程、時間を要しません。

秋の学園祭シーズンになりますと、我が團も他部に混じって学内に模擬店を出し、来場頂いた皆様に食品等を提供させて頂いて居りました。「テキヤ?」等という声もない訳ではありませんでしたが、そんな模擬店の店舗を角材やベニヤ板で制作するのは1回生の仕事であります。

 

まずは角材でベースとなる四角い枠を作る訳ですが、大きいだけに釘だけではグラグラしますので、四隅に補強の木材を取り付けます。すると理学部團員はおもむろに計算を初め、木材を測って切り出します。

実際に対象となる角の部分に木を当てて鉛筆で線を引き切れば済む話なのですが、何を計算しているのか問い質すと

「直角二等辺三角形の辺の比は1:1:√2やから、計算しとるんや」

とのお答え。「ルート…??」問い質した團員の基礎学力にも問題があり、耳慣れぬ単語に恐れ入り、彼に任せておりましたところ、案の定、切った材木は補強の役目を果たす事はありませんでした。

所詮はこんなものでありましょう。

 

八代目甲南大學應援團OB会

広報委員会