かつて「嗚呼!花の応援団 」という劇画が一世を風靡致しておりました。昭和50年から連載が開始され、ヒットし遂には映画化されるまでの人気を博したのであります。
作品の評価は皆様の御判断にお任せ致しますが、この作品が社会に与えた影響は想像以上に大きかった様であります。
無論、漫画、映画が現在進行形の時代はその影響下にありましたし、そのブームが去った後も類似作品が現れたり、漫画の定番・学園物では悪役として登場したりと、その波及効果は大きかった訳であります。
事実、この漫画が連載されて少なくとも10年は、大学に入学して来る者は「大学には応援団なる学内を牛耳るギャングの如き集団が居るらしい」という誤った知識を漫画から得ている者も珍しくなく、注目度は高かった半面、勧誘には苦戦致したものであります。
また注目すべきはこの昭和50年代という時代は、中高生の間では「ツッパリ」ブームなるものがありまして、リーゼントやパンチパーマに應援團員も顔負けのハイカラーのコートの様な学生服に身を包んだ中高生が巷に溢れておりました。
暴走族や校内暴力が社会問題になったのもちょうどこの頃であります。故にこれらの延長線上にあるもの、或いは同類として應援團があるという、漠然とした認識が世間一般にあった様に思います。
その発端とも言えるこの漫画の功罪は相半ば致して居ると言えましょう。作者はそれなりに大学應援團について知識がある方だと思われますが、当時の殆どの應援團が示した「この漫画に関しては應援團のある一面を誇張し且つ歪曲したものであり、現実の應援團を忠実に描いたものではない」という見解はまさに的を射ております。
その反面、この作品がなければ應援團という存在が斯くも世間の知るところにはならなかったのも事実であります。またその波及効果で歪んではおりますが「男らしくありたい」というぼんやりした価値観が中高生に間に広がり、應援團員の素養のある者が増えたのも事実であります。
漫画は未だにAmazon 等で中古でお買い求め頂けます。また別の機会に映画版のお話を出来ればと思います。
八代目甲南大學應援團OB会
広報委員会