本山村怪々奇團【82】 | 大学應援團に関する考察を支援するブログ

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第82話 "逆"一飯の義理【後編】


 


後で判明ところによりますと以前、自宅周辺で団員が張り込みをしていた際、偶然、母親が買物に出かける姿を見かけました。しばらくすると買物袋を持って帰宅してきた訳でありますが、団員は大胆にも母親に声をかけたのであります。勧誘名簿には新入生の自宅の電話番号が記載されておりましたので、しばしば自宅に勧誘電話をかけていたという経緯があった訳でして

「いつもお電話を差し上げております甲南大学の〇〇です」

と自己紹介し、話し込んでいたのであります。学内ではイカついと思われていた応援団員も母親世代から見ると、可愛気がある様に映る傾向がありまして、加えてその団員は人間性が豊かな事で有名な者でありましたので、すっかり母親はその団員を気に入ったのであります。

 

その日も団員は新入生の帰宅時間ではなく母親の買物の時間に合わせて自宅近くに赴き、買物袋を持ったりしていたのでありまして、団員が下宿生である事を知っていた母親は団員に夕食を食べていく事を勧め斯様な事態になっていたのでありました。

 

ここに至って新入生は自身の完敗を思い知り、入団を決意したのであります。「三十六計逃げるに如かず」を信条に逃げていた彼でありますが、団員はその上を行く兵法三十六計「擒賊擒王」の計にて見事、勝利を収めたのであります。キャリアの差でありましょう。

 

しかし勧誘される先輩から再三、御馳走になる飲食を義理に思い入団する新入生はしばしば見かけましたが、食事を提供した上に入団したのは彼くらいなものでありましょう。【完】


甲南大學應援團OB

八代目甲雄会広報委員会