ヤフコメを読んでいて、ちょっと気になったことがあったので調べてみたら、マスコミがやばすぎました。
数列と行列の区別がついてないことが発覚!
(おかしな箇所を【】書きで強調)
<共同通信>
・【数列】やベクトル、確率といった人工知能(AI)やデータサイエンスにつながる学習内容を盛り込む方針を中教審の作業部会に示した
<朝日新聞>
・高校数学から数学A、B、Cという科目の区分がなくなる方向となった。ベクトルや【数列】などの項目ごとに生徒が選ぶ仕組みに変わる見込み
・データサイエンスを理解する基礎として重視する内容は、確率が数学A、統計が数学B、【行列】は数学Cなどとばらけ、履修しづらいのが現状だ
<読売新聞>
・選択科目の数学Cで扱ってきた「【行列】」や「ベクトル」などAIに関わる要点を抜き出して指導
(読売新聞より)
それぞれ見ていきましょう。
まず、共同通信ですが、
AIに必要なのは「数列」ではなく「行列」や「ベクトル」のことを言いたいんでしょう。
(それも「テンソル」であって行列やベクトルではないという意見もありますが)
どっちにしても、なぜか数列と表記しています。
次に、朝日新聞ですが、
数学Cや数学Bという科目を止め、ベクトルや数列などの項目ごとに生徒が選ぶ仕組み
というのは、以前は「代数・幾何」「確率・統計」「微分・積分」など単元名が科目になっていたので、
そのことを指しているので、これ自体は間違いありません。
問題はその次の、
データサイエンスを理解する基礎として重視する内容は、(略)【行列】は数学Cなどとばらけ
とありますが、現在、数学Cでも行列は実質的に教えていません。
(一応、教科書にはしれっと載っているようですが)
というか、十数年前から行列は高校では扱っていません。
行列が数学Cにばらけというのは誤解を招くでしょう。
数列と言いたかったのか、だとしても数列がAIに必要というわけではないので誤りです。
同様に、最後の読売新聞ですが、
選択科目の数学Cで扱ってきた「行列」や「ベクトル」などAIに関わる要点
で、数学Cで扱ってきた「行列」という表現も、
「扱っていた」という過去完了ならまだわからないでもないですが、
「扱ってきた」という現在完了ではないでしょう。
現在、数学Cで実質的に行列は教えていないので。
(といっても教育関係者じゃないとその辺まではわからないのかも)
以上、数学Bで履修する「数列」と、
AIに必要?で今は履修していない「行列」を混同している可能性が高いと思います。
まあ、人間ですからまちがいや勘違いはあるでしょう。
でも、問題なのは
編集の時点で、これらの文面に誰も違和感を感じなかったのかという点です(校正は?)。
AI云々以前に、知識や教養、
そして、自分で調べたり考えたりする力の方がよっぽど大切だと思います。
