※ 虫嫌いな人は読まないでくださいね(笑)
 
昨年12月のお話です。夏に保育園で飼っていたカブトムシが卵を産んで、無事に2匹の幼虫が生まれました。12月上旬に、ご近所の農家さんが12匹のカブトムシの幼虫を持ってきてくださり、合わせて14匹に(^^) 
 
一つの透明なビニール袋にごそっとまとめて入れて持ってきてくださったので、その見た目に、保育士がひきつった笑顔で、「先生~、来てください。私では対応できない」と後ずさりし、子どもたちも引いていました(笑)
 
「可愛いね!」と言いながら、あるだけの腐葉土を入れたケースに素手で移し替え、毎日乾燥しないよう子どもたちと霧吹きで土を湿らせ、幼虫の動いた軌跡などを見つけては「こんなに動いてる!」と話していたせいか、子どもたちも愛着が湧いてきたのでしょう。
後日、さらに腐葉土や朽ち木を入れて、環境を整えた際、「やりたい!」と手伝いはじめ、写真のように丁寧に幼虫を腐葉土の中に入れてくれました。この写真の中には、ダンゴムシでもキャーキャー言ったり、バッタでも触れなかったりする子もいます。それが、こんなに丸々太った大きな幼虫を慈しむように両手で包んでいる。
 
なお、冒頭の顔をひきつらせた保育士の名誉のために書きますが(笑)、たくさんの幼虫がやってきて、「腐葉土、買い足してきますね!」と、自分のお昼ごはんもさて置き、すぐに買い出しに行ってくれたのも、この保育士でした。
 
彼女の行動も含め、周囲の大人の影響って大きいなとあらためて思いました。これはカブトムシの幼虫が対象でしたが、このことに限らず、周囲の大人が他者を、あるいは何か対象物や事柄を拒絶したり排除したりしなければ、子どもたちは同じ言動はしません。もちろん、大きな音や匂い、過多の視覚情報のように、体質的に、あるいは脳が拒絶してしまう子どもたちは一定数います。しかし、そういった個別の事情がなければ、むしろ今回のように、嫌がっていたものも受容できる。
 
NHK ドキュメンタリー番組「ノーナレ」で、桜ケ丘中学校の西郷校長はじめ先生方の取り組みが再放送されていましたが、大人がどういう環境をつくるかは本当に子どもたちに大きな影響を与えます。直接、何かを教えたり指導したりするよりもずっと。環境さえ作れば、他者や多様性を受容したり、苦手を克服したりすることを、子どもたち自身が考えるからです。そして、こういった環境づくりによる変化は、華々しくわかりやすい結果としてはなかなか現れない。だから、桜が丘中学校の取り組みも賛否両論あるとのこと。私たちの保育園でもそうですが、一か月後、一年後に子どもたちが劇的に変わることは無いかもしれない。それでも、一人ひとりの子どもたちを毎日丁寧に見ていると、子どもたちの態度や、発言・行動が少しずつ変化するのを感じるときがあります。また、子どもたちが大人になったときに、記憶にはなくても、多様性を受容できる人になってくれたらと願っています。