週末の外泊は「友達の家で受験勉強している」と言い張る娘

 

中学3年の娘は最近、土曜日の夜になると外泊するようになりました。友達のところで勉強していると言いますが、友達の名前は教えてくれません。信用してよいのでしょか。高校受験の勉強を本当にしているのか心配です。 

 

 

本日の回答者

元公立中学校教師

鎌倉 弘行

 

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A 成長してくると、ものの見方が複眼的になってきます。「ものの見方」は「考え方」であり、「考え方」は「生き方」とも言えるでしょう。中学3年生は生き方が複雑になってくる時期であり、その気持ちは、子供自身にもわからない場合が多いのです。今までは単純に判断していた事柄も、2面3面から見えてきます。ただ語彙が少ないためにどう表現してよいか分からずに、煩悶としているのが、思春期の特徴でもあります。

 

その複雑な心境を推し量らずに「勉強すれば自分のためになるから」とか「もう中学3年生でしょ。受験があるんだからね。余計なことは考えずに勉強しなさい」とか単純化して言われると、私の気持ちを分かっていないと感じて、反抗的にもなってきます。また、親を困らせることで自分の気持ちを分からせたいと行動することもあります。

 

中学3年生は、まだ親の監督下にあります。他家へ宿泊したり、お邪魔するときは、お礼を言ったり、お願いをすることは保護者の務めであります。それは、やがて社会へ出て生活する娘さんへ、親が伝えるべき教えでもあります。

 

私の若いころ読んだ本にこんなことが書いてありました。「親や教師というのは、子どもの壁になるべきだ。子どもはその壁を乗り越えよう、突き破ろうと努力する。その時、子どもの力は伸びてくる。壁のない物わかりのよい大人は、子どもの本来の成長を妨げる。自分が嫌われたくないという大人を子どもは軽蔑するだろう。また、それは子どもが本来持っている可能性を失わせてしまうことにもなる」

 

ここはお母さんが毅然として、相手の家を聞き、娘さんと一緒にお礼に伺うべきでしょう。どんな友達であるかを聞き、もし不登校の子だったり、いじめられたりしている子であれば、娘さんのしていることは立派な行為ですので、抱きしめて、心から讃嘆してあげてください。もし、娘さんが一緒に行くのを嫌がったり、外泊先を言わないようでしたら、外泊を禁止すべきです。

 

その上で、ご家族でお茶のみ話の中で、中学校3年のころの話をしてあげたらどうでしょう。お母さんも似たような心持ちの時もあったのではないでしょうか。そうすると、「なんだ、お父さんもお母さんも同じようなときがあったんだ。私一人ではないんだ」と安心し、本来の娘さんの姿が現れてくると思います。

 

私はあなたが大好き。あなたは本当に素晴らしい。一所懸命勉強して人の役に立つ人になりましょう。私も毎日本を読んで勉強しよう」と言い続けてあげることも大切です。

 

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   不登校を繰り返す娘に立ち直って欲しい

 中学2年の娘は1学期から不登校を繰り返しています。いじめに遭っているかどうかもハッキリ言わないので、不登校の理由が分かりません。そんな娘とどう接していけば良いのでしょうか。

 

 

本日の回答者

(公財)新教育者連盟 教育アドバイザー 公立小学校教師

執行 ひろみ

 

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A ある時、Aさんに「あなたは何故、学校を休まないの」と聞くと、「学校へ来たら友達と遊べて楽しいから」という返事でした。小学生でも中学生でも学校へ行くと大人以上に友達と過ごせることが楽しいし、心が休まるのではないでしょうか。私自身、職場の学校が大好きで休んだことがありません。退職した今でも再任用として学校に勤めています。

 

さて、不登校を繰り返す娘さんのことを考えた場合、理由がいろいろ考えられます。

 

①家庭内の不和…子供に大きく影響します。

②朝、起きられない

③いじめに遭っている

④先生と合わない

⑤病気など


そこで、これをきっかけに親子で成長していこうという決意を持ちましょう。今が『チャンス』と前向きに捉えたらどうでしょうか。子供に学校へ行ってほしい、その気持ちは痛いほどよく分かりますが、これは「生活改善の良いチャンス」だと思っていただけたら幸いです。

 

お母さんは、「そうか、行きたくないんだね」と、子供の言葉を肯定的に受け止めてあげてください。行きたくないという気持ちを親に言えるのは、親子の信頼関係が育っている証拠です。

自分の言った言葉を肯定されると、「行きたくない理由」を言ってくれることもあります。その時は子供の話をうなずきながら傾聴します。一番良くないのが、学校へ行かないことで子供の人格を否定してしまうことです。

 

学校に行かない時には約束を――。

「おうちの人は仕事が忙しい。あなたは家にいるわけだから代わりに、家のことをやってね」と約束させます。例えば、食後の食器を洗うこと、洗濯物を干すこと、洗濯物を取り込んでたたむこと等々、家にいるからできることを子供の役割にしましょう。おうちの人が帰ってくるまでに夕食の準備をやってもらうのもよいでしょう。

 

それらを提案し、「やってくれる?」と交渉します。また、お昼ご飯を自分で用意させてください。子供に家のことをやらせるのは、決して悪いことではありません。子供に役割をこなしてもらい、「ありがとう、助かったわ」と伝えることで、子供は自信をつけます。感謝されれば自己肯定感が上がります。こうして家庭の中で人格が認められて、自信がつけばいつかは必ず学校に行くようになります。

 

もう一つ実践していただきたいことがあります。それは早起きです。東京家政大学教授の岡島義先生(睡眠行動科学)は、「子供は大人より光に敏感なので、目覚める 分くらい前に遮光カーテンを開けて、外の光が入るようにするとよいでしょう」とおっしゃっています。人生に無駄なことは一つもありません。色々と試して解決していきましょう。

 

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   担任を嫌いになってしまった中1の娘

 

娘は担任の先生に叱られ、それ以来、担任の先生が嫌いになったようです。毎日顔を会わせる担任を嫌っては、勉強にも影響が出ると思います。娘の気持ちを何とか和らげたいのですが。

 

 

 

本日の回答者

(公財)新教育者連盟 教育アドバイザー 公立小学校教師

執行 ひろみ

 

 

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A 旅行の帰り、特急列車の中で「執行先生」と声をかけてくれた車掌さんは小1の時、「僕は列車が大好きだから車掌になると断言していました。「仕事はめっちゃ楽しい!」と笑顔満開。好きなものを見つけ、夢をかなえた車掌さんは私の誇りです。

 

長い人生の中で好きなもの・好きな人に必ず出会えるものです。私自身、好きな先生に出会って一所懸命に勉強した覚えがあります。

 

さて、今回は担任を嫌いになってしまったということですね。お子さんを見ていて、親として苦しいでしょう。基本的に、子供の悩みは、子供自身が工夫して乗り越えていかなければなりません。しかも子供にはその力が宿っています。

 

嫌いな人・嫌いな出来事に出会ったらいったいどうすれば良いかを考えてきましょう。

 

精神科医・樺沢紫苑さんの本には、「好意1対2対7の法則」が書かれています。自分の周りに 人いた場合、自分を嫌っている人は必ず1人はいる、自分を好きで味方になってくれる人は2人はいる、あとの人はどちらでもないそうです。

 

また、嫌いな出来事を上手にスルーする言葉として、
・しょうがない
・まあ、いいか
・それはそれとして
・起こったことはしょうがない
・良い経験をした
などが挙げられていました。

 

解決策として
①担任のことは嫌いでいいです。嫌いな気持ちは仕方がありません。一つの感情のトレーニングだと思いましょう。
②嫌いな担任のことを上手にスルーして、友達との会話を楽しんだり、勉強に励んだりするように声をかけましょう。
家庭で一緒にコロッケ作りをして、子供の気持ちを聞いてあげましょう。子供のモヤモヤが出てしまうと、心がすっきりして担任に注目しなくなるでしょう。

 

幸い中学校の学習は教科制なので、嫌いな担任でも顔を合わす時間は少ないですね。

最後に、担任を変えることはできませんが、自分の気持ちは変えられます。嫌な気持ちをいつまでもためておかないで、自分のやるべきことに励まれることを願っています。

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ご紹介した記事は、株式会社光明思想社が発行する『生命の教育』令和6年6月号に掲載しています。本記事以外にも「自分ひとりでは何も決められない娘」、「ゲームに熱中して家の手伝いをしない兄弟」などのお悩みに回答しています。ぜひご覧ください!

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