地方分権の嚆矢・地方分権推進法を制定し、地域福祉を実践した傑出した島根の政治家
こんにちは
松江の行政書士&ファイナンシャルプランナーの小室寿明です
さる4月22日、社会福祉法人みずうみの会長である岩本久人氏が逝去されました。
岩本氏は、島根県職員労働組合(島根県職労)書記長を7年、県議会議員を3期10年、参議院議員を1期6年経験した傑出した島根の労働運動家&政治家であり、私はその後姿を見ながら歩いてきたといえる大先輩です。
私が島根県職労の専従役員となった1984年当時、岩本氏は既に島根県議会議員であり社会福祉法人みずうみの理事長でもありました。
1987年県議選で3期目の議席を得た岩本氏は、46歳の若さと当時最強といわれた労働団体の組織力を背景に、1989年参議院選挙・島根選挙区(定数1)で見事な勝利を果たします
▲1989年参議院議員選挙・島根選挙区で歴史的勝利を得て万歳三唱する岩本久人氏。
国会では、地方自治の振興を担当する地方行政委員会(現総務委員会)に所属し、1986年の細川連立内閣の成立により建設大臣となった五十嵐幸三氏(旧北海道2区)の後任として社会党の地方行政部会長に就任し、予算編成に参画。
1995年には参議院地方行政委員長に就任し、悲願の地方分権推進法を成立させて今日の国・地方対等の行政の仕組みづくりの嚆矢となる成果をあげました
▲辣腕を振るった地方行政委員長時代の1コマ。自治省(現在の総務省)幹部をして「手ごわい」と思わしめた。
が、この年行われた参議院議員選挙・島根選挙区では、自民党公認・景山俊太郎氏に惜敗(※旧島根1区の得票でほぼ互角、2区で水をあけられるが、3区では僅差で勝利)。
国政復帰を目指して1996年の民主党結成に参画し、精力的に政治活動を展開するも、2000年衆議院議員選挙島根1区で民主党公認を得られず、現職・石橋大吉氏と無所属・岩本久人の自治労組織内議員同士での野党分裂選挙へ…。
落選後は、松江市の橋北・法吉町で手がけてきた福祉事業の展開に注力します。
理事長➡会長として運営してきた高齢者・障がい者・児童福祉施設群は、今日県内最大規模のものとなり、多くの利用者の生活を支えています
晩年岩本氏は多くの病を抱えつつ、家族や社会福祉法人みずうみの福祉サービスの支えを得ながら在宅での看取り生活であったとのこと。
ここにお世話になった大先輩・岩本久人氏を偲ぶとともに、「彼の労働運動や政治・福祉活動に臨む信条であった言葉」を贈り、謹んで哀悼の意を表します(合掌)。
「老いること、病むこと、死ぬことは避けては通れない。で、あるならば、その道が少しでも穏やかなものであるように…」
【岩本久人プロフィール】
浜田市弥栄町(旧那賀郡弥栄村)生まれ、享年81歳。極貧の家庭に育ち、働きながら浜田高校定時制に学び、当時の恩師の勧めで試験を受けて島根県職員に…。社会正義への強い思いから島根県職労の活動に参画し、28歳で書記長となる。そして、島根県職労組織の先輩である福田真理夫県議の引退に伴い、34歳で島根県議会議員選挙(松江選挙区)に出馬し初当選を果たす(以後3期10年)。当時の島根県政の最大課題である中海・宍道湖淡水化反対の運動を労働団体とともに支援し、「淡水化延期」の成果を得る。自民党現職・成相善十、新人(公認)・細田重雄の対決の様相となった1989年参議院選挙・島根選挙区(定数1)に無所属野党共闘で立候補し、「山が動いた」といわれる勝利を果たす。その県議会議員の系譜は、小室寿明(4期14年)、はくいし恵子(5期・現職)と今日まで続いている。
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