▼安倍総理が、来年4月からの消費税8%への引き上げを決断。民主党・野田政権が、政権の命運を賭け取り組んだ「社会保障・税一体改革」に伴う措置であり、私(小室)もこの判断は是とします。

▼しかし、自民党・公明党と約束した「社会保障制度改革国民会議の議論を経て今年8月までに法的措置を講ずる」とした社会保障の抜本改革は全く先送り、「身を切る」として先の通常国会で法制化を約束していた議員定数削減も手つかずとは許せません。

▼さらに、復興特別法人税の前倒し廃止を含む1兆円規模の企業減税、4兆円規模の公共投資などの経済対策は、「消費税は全額社会保障財源に充てる」との大原則を揺るがし財政規律を歪めかねず、認められません。

▼写真は、松江市東出雲町にある県の宍道湖東部浄化センターに設置された平井建設のメガソーラー施設。一昨年民主党・菅政権の退陣と引き換えに、自民党に飲み込ませた(再生可能エネルギー)固定価格買取制度の効果。民間設備投資が前進したよき「置き土産」の事例です。

▼翻って民主党政権は、少子・高齢化と核家族化・孤立化・貧困化が加速する日本社会の歪みをただすため、年金・医療・介護・子育て・働き方のセーフティーネットを強く張り替えることをめざしました。消費税引き上げは、ともに支え合う社会をつくるための財源確保策でした。


▼しかし今、政権は自民党に代わり、市場原理主義政策を採る安倍総理にその問題意識はなし。ともに支え合う社会をつくるという理念は、残念ながら、生かされない「置き土産」となりつつあります。
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