悲しくなったとき。いたたまれない気持ちになったとき。ゼンタングルのタイル(紙)の上に、その気持ちを表現してみることもできます。

 

重いお話ですが、戦争について。数年前、思うことあり一人クロアチアを訪れたのですが、現地で目にしたものは、砲弾の後が生々しく残る壁や屋根。1991年から1995年に起きた紛争の爪痕でした。

 

首都ザグレブで「image of war」という博物館を訪問。そこには20世紀最後に起きた紛争で、カメラマンが命がけで撮影した写真が。報道では目にすることのないような残酷なイメージの数々が展示されていました。

 

処刑されてズタボロになったクロアチア人の死体を足で転がしてピースのポーズをとるセルビア兵。その顔はサーカーでゴールを決めたかのように得意げ。

 

兵士に銃を向けられて命乞いする人たちの写真。絶望感にうちのめされて。仲間を、家族を目の前で殺されて頭を抱えて嘆く人や、家を焼かれて途方に暮れる人。

街を攻撃され、建物の陰で爆撃に怯える人達。恐怖と不安。

※博物館のスタッフより、悲劇を伝えるためSNSで写真を投稿してほしいと頼まれて掲載しています。
 

処刑されて冷たく転がる男性。生きているけれど表情が死んでいる子ども。

 

通勤途中だったのでしょうか。淡いピンクのスーツ姿でハンドバッグを持った女性が首都ザグレブのトラム(路面電車)の横で、血だまりのなか倒れている写真…。写真について、ある朝、クラスター爆弾で攻撃されて命を失った。と説明が添えてありました。

 

クラスター爆弾は、容器が空中で開いて中にある多数の小型爆弾が広い範囲に飛び散るので、殺傷能力が高い兵器と言われています。彼女のように、いつもと同じ日常を過ごそうとしていた多くの人たちが、一瞬で命を奪われたのでしょう。

 

効率的に人の命を殺める兵器を造るのも人間。そのむごたらしい結果に心を痛めるのも同じ人間。

 

クロアチアへ行く途中に経由したトルコの国際空港も、その前年、イスラム国の自爆テロで200人以上の死傷者が出た痛ましい場所でした。日本を一歩でると、安全ではない地域がたくさんあります。

 

今日もまた、どこかで誰かが土足で踏み込まれてきた何者かに殺傷され、住み慣れた街に容赦なくミサイルを撃ち込まれ。一瞬にして尊い生命を破壊されています。

image of war」

 

この日本という平和な国で、少しでも心安らぐ時間を得られるのなら。その環境というのは、当たり前のことではなくて、とても恵まれていて尊い時間をいただいていることだと思います。

 

世の中の多くの方々に、少しでも平和な時間が訪れますように。悲しい気持ちを黒いインクにこめて。今日はお祈りの一日でした。