痩身 | ~同じ空の下のできごと~

~同じ空の下のできごと~

この空の下は悲しみで満ちている。
その悲しみに寄り添おうとする言葉。


 自分が死んだらどうなるだろう。
 きっと、世界にほとんど影響を与えない。
 私は人類史に名が残るような天才ではない。私の代わりはいくらでもいる。
 そんな凡夫でも、できるだけ文明の発展に寄与できるようにと、凡夫なりに研鑽を積んできた。
 何かを手に入れるために行ったことは、何かを棄てる選択だった。それが最も効率の良い方法だった。
 自分を殺ぎ落とし、殺ぎ落とし、殺ぎ落とし切れない自分があることを知った。
 どこまで殺いでいっても、凡夫は凡夫のままだった。
 そこに、痩せ細った自分が立っている。
 生きているか、死んでいるか、怪しい。

 焼け野原に突き刺さっている木の棒。
 それは墓標に似ていた。
 もう、殺ぎ落とせるものは、___くらいか。