熱と雨 | ~同じ空の下のできごと~

~同じ空の下のできごと~

この空の下は悲しみで満ちている。
その悲しみに寄り添おうとする言葉。


 身体が熱くて目が覚める、深夜。
 熱と気怠さ、筋肉痛と頭痛、ぐっすり眠れることはない。
 今住む場所の天候は、この時期急変する。
 短時間で激しく雨が降り、雷が光る。道路は冠水する。
 強く吹き付ける風の音と雨音、雷鳴に、自然の脅威を感じるとともに、それに抗う術を構築してきた人類の歩みを、安全なアパートの一室で噛み締める。
 激しい空模様を思うとき、その心は憂いと、ちょっとした優越感に満たされている。
 色や音の変化だけでない、空を取り巻く機微。
 大気が震え、弛緩し、やがて晴れ上がる。
 雨の残した匂い、空気の肌触り。
 いつしかそれを感じることもなくなるのだと思うと、ヒトの生とは、是非もない。