少し遡りますが、移動中時間ができた折、気になっていた映画「サイレントラブ」を。
事故で視ることが難しくなったヒロインと、あるきっかけから彼女を見守ることになった青年。青年は過去の事件がきっかけで、声を発することが無く…そんなストーリーが主に音大を舞台に続きますが、全編通して光と影の描写が。影は光になることが出来なくて、影が重なった時に闇が訪れて…。映倫区分G(年齢に関わらず誰でも見られる)ですが、バイオレンス系で目を覆ったのが私は3回程…。救いが欲しい、と思いながらエンディングになり。そこにミセスの主題歌が流れ、救われました…。「ラーゲリ」の時も思ったのですが、ミセスの主題歌は作品を昇華させるのが凄い。メロディーは言わずもがなですが、本質を歌い上げて寄り添い応援するような歌詞と歌声も刺さります。映画も幸せだなと…。
🍏「ナハトムジーク」内「矛盾こそ生き抜くための美だ」という歌詞があり、救われた、という声と共に称賛も多いものですが、オーラスの「愛しいボンクラ」も凄いなと。二十代の大森(元貴)さんが、「ボンクラ」ってご存じなんだ👀と驚いたのですが、もっくん(大森さん)が使うなら特別な意味があるのかも…!と調べてみると、意味はそのままなのですが(ぼんやりしていて物事の見通しが効かないこと、またその様や人)由来が面白く。元々賭博用語で、盆の上/中の賽など勝算に疎い者を指したとされるのが一般的。今ではあまり使わない方が、という言葉にもなってはいますが、件の歌詞では「等しい僕ら」と続き、それぞれの形容詞と名詞が韻を踏んでおり、その為の言選りですよね。さすが。🍏
ただ、そういったシーンもありながら、二人の距離感など、広角で上手に抒情的に描かれていたり。映画のスクリーンは、普段目にするスクリーンと異なり、非常に横長(恐らく2.35:1)ですが、橋を右から左へ渡る二人、建物前の人物など(やはりスチールの視点でつい見てしまうのですが)フォーカスや画作りをとても考えられて撮られ、編集されていると感じました。
ヒリヒリした感覚はフィクションと思っても鑑賞後も残り…その直後に映画を想起させるようなニュースも続いて考えることも。キラキラしたキャストで必ずしもキラキラした世界を描かなかったのは、そういう意図があってと気づきました。山田さん、キングなオーラを消せるんですね…。(ちなみにこちらの会場では、鑑賞予約時にスマートフォンへ送信されたQRコードで入場できました。本編ギリギリの入場だったので、スマートチェックインができ助かりました✨)
メガホンをとった内田英治さんは、名作と名高い「ミッドナイトスワン」も監督、脚本も担当された方。監督ご自身はリオ・デ・ジャネイロで生まれ、週刊プレイボーイの記者を経て映画の道へ入られたようです。作品を調べてみたら、新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの凪沙が、親戚で育児放棄にあった少女をはじめは養育費目当てに預かるも、孤独の中に互いへの想いが芽生えていくストーリー。YouTubeで当時の予告編のショート/ロングver.が見られるのですが、特に後者では主演の草彅剛さんの演技に引き込まれます。
いつか観たいなと思ってさらに調べると、なんと<上映中>。2020年封切りの映画ですが、現在でも水曜に限り、TOHOシネマズ日比谷で上映されているとか。3年以上のロングラン…凄いことですね…!