手紙 | ある吹奏楽部顧問の勉強日記

ある吹奏楽部顧問の勉強日記

愛する生徒達のために、一生懸命に頑張っています。
でも、生徒達に教えられることのほうが多い毎日です。
彼女たちが将来、社会に出て、人をまっすぐに愛し、人から深く愛されるような人になってほしいと、強く願いながら日々向き合っています。

3年生のみなさんへ。


とうとう、君たちが卒部する時が来ましたね。




まだまだ君たちと音楽が、部活がしたかったなあ、と強く思います。





でも、もう吹奏楽部での時間は終わりのようです。





振り返ります。







今年の3年生。



君たちほど、「人のために頑張った」代はありません。







入部したとき、君たち全員をコンクールに出しました。



それぞれが迷惑をかけずに、またコンクールに向けて雰囲気を乱さず必死にがんばりました。必死でついていきました。





チャイコフスキーの代になりました。





人数が少なくなった分、一人一人がごまかしのきかないバンドになりました。



でも君たちはここでも一生懸命頑張って、もううまくなるしかないとその腕を磨きました。




コンクールのチャイコフスキーのシンフォニーもまだ楽器を持って1年の君たちにはかなりのハードな曲だったと思いますが、でもここでも、命を懸けてコンクールに臨む先輩方のためにも必死にさらってのぞみました。




そして君たちが最高学年になりました。






アンバランスな人数構成でした。8人の君たち。その4倍の下級生。


そんなことは仕方がないとは思っていても、苦しい苦しい




すぐそばに、違う音を吹いている・違うリズムを吹いている後輩。



今年、何度も何度も繰り返してきた、「3年生は準備室に集合・ミーティング」。




その内容の多くが「部活をどうしていくか」ということや「移動や練習に対する姿勢について」でした。

 


そのたびに8人でアイディアを出し合って解決に向けていました。




部活のために、つまり人のために苦しみ、知恵を出し、そして努力してきました。



迎えたくるみ割り人形のアンサンブルコンテストと愛佳のソロコンテスト。



悔しい結果になりました。初めて自分たちのために頑張ったのに。




中日大会翌日、学習室で流したみんなの涙。顧問としての力不足。



忘れられない思い出です。



でも、それ以降も、君たちは人のために頑張ることを、やめませんでした。



3学期。



基礎力を高めると同時にコンクールの曲を練習し始める時期です。




後輩の面倒を見ながら自分たちの技術を上げていく。それはそれは根気のいる作業。




昨年度は小編成で県大会。今年は大編成に「出なければならない」。




いろいろな思いがあったと思います。



でも、それを私には一切口にせず、後輩を指導しながら、自分たちのやれることを精一杯やってきました。



そんなけなげな君たちを前に、私の焦りは募る一方でした。


ところがです、私は気づきました。そんなひたむきに、そして誰かのために頑張ってきた君たちを、たくさんの人たちが気にかけ、応援してくれているということに。


講師の先生をお呼びしてレッスンを受けた後、先生方にお礼を言うと、たいてい3年生の話になります。3年生君たちの出す雰囲気がとても前向きで、いいと。


学校の先生方も、吹奏楽部の3年生の話をすると、みんないい人ぞろいだねと言ってくださいます。


訪問演奏へ行く先々で、温かい拍手をもらいます


保護者の皆様がどんどんお手伝いくださいます。


そしてその極めつけは、今年のコンクールでした。


くじゃく、正直難しいかなあとも思いました。でも



私の期待と予想をはるかに超えて「くじゃく」を立派に育てていきました。



やっぱり、何かのために頑張る3年生


君たちは見事にくじゃくの離陸を成功させました。見事大編成で県大会出場です。


そして朝日の大会。

誰かのために頑張ってきた君たちが、ついに誰からも認められ、拍手をもらう。


私は、嬉しかった。県大会に行けたことがうれしかった、ではありません。


君たちの努力が認められ、君たちの演奏が評価されたことが、本当にうれしかった。

この2年半、本当に素晴らしい思い出を君たちからもらいました。


他人のために頑張れる、他人のことを一番に考えられる素敵な人たち。


ぜひこれからもそんな温かい、誰からも応援される人でいてください。

3年生、ありがとう。さようなら。