フロント回りの部品が来ないのでステムの修理ができません。己の短い人生、1ヵ月も無駄にできませんので、今回はリアを中心にリフレッシュします。

 

 

F800Sはマフラーを外すことからスタートです。ボルト2本を緩めるだけで外れます。

エキパイとの接続部はクランプで留まっているだけで、ガスケットはありません。接合面の精度で気密性を保っています。しかしこのマフラー重たい。触媒とサイレンサーが合体しているのでかなり詰まってます。これを社外品に変えたら相当軽くなるでしょうね。

 

 

片持ちスイングアームの場合、ホイールはでかいセンターナットで固定されている印象ですが、BMWの場合は4輪と同じようにハブボルトで固定しています。またハブで嵌合するのでボルトを抜いても保持されたままで、着脱は容易です。

しかし、ホイール軽いな!軽の鉄チンより軽い!きっとこのホイールは高いな!

 

 

リアブレーキのパッドはまだまだあります。ローターは結構削れているので何回か交換歴はあるでしょう。ほとんど新品です。パッドピンがさびていたので、外してグリスを縫っておきます。

ピンはそのままでは抜けず、特殊工具で抜くように指示がありますが、ピンポンチで叩けば外れます。抜け止めのRピンが曲がっていて、保持力がないので交換したいです。

 

 

ドライブベルトを緩めて外します。ハブは二重構造で、外周と内周で少しずれている偏心カムという機構により、カムをずらすことでベルトのテンションを調整します。ドゥカティだとあのアルミの塊で15万くらいするやつですね。これを緩めてベルトをダルダルにします。完全にたるむ感じではないので、タイミングベルトのように、回しながらずらして外していきます。

 

 

ベルトはまだ何とか使えそうな感じです。かなり繊維質で亀裂が見にくいですが、山の根元に若干割れが出始めています。また遺物はありませんでしたが、以前に嚙んだ跡があり、ベルトはそろそろ寿命ですね。よく持った方です。

このベルト高いんだけどな

チェーン交換3回分と考えれば安いのか?

 

 

ショックアブソーバーを切り離します。ナットは15mmなので注意です。

今回はしませんが、フレームのボルトを外すとショックを外すことができます。

 

 

さてここが難関。スイングアームピボットはエンジンに固定されていますが、エキパイを交わして裏のボルトを4本緩めないといけません。ここのボルトは16mmなので、プラグソケットを使って回します。

 

 

カバーを外して、スナップリングを外すとシャフトが抜けます。リングは径が合えば軸用の物が流用できます。

 

 

ピボットシャフトは大きな圧痕や錆も少なく非常にきれいです。ほとんど新品です。

 

 

ニードルベアリングの状態もいいですね。

オイルシールがちょっと怪しいですが、ここまで分解するのにそれほど労力はかかっていないjので、今回は清掃とグリスアップにとどめておきます。

 

 

ニードルローラーを清掃し、ZOILグリースでコーティングします。

ZOILのオイル添加剤はめっちゃ高くて買うのをためらいますが、グリースはかなり安いので、分解するのが面倒でしょっちゅうグリスアップしたくない場所に是非お勧めです。使い切れるかどうかわからないくらい大容量でお買い得です。

ピボット程度では全然減らないので、ステムベアリングにもたっぷり使えます。

 

 

ニードルローラーはリテーナーがないので気を付けないと紛失します。

グリスでグッチョグチョにして落ちないように気を付けましょう。

 

 

シャフトを入れたらリングをはめて蓋をします。

オイルシールが怪しいので、外側も少しグリスを塗り込んでします。

 

 

クランプボルトを締め付けるのが厄介です。アドレスV100のエキパイくらいめんどくさいです。

クラッチやブレーキのように前側から締め付け、後ろを締めます。トルクは40NMです。

 

 

ベルトスライダーをクレポリできれいにしたかったので外します。ボルトはアルミのスイングアームに刺さっているので、電蝕が強く外すのが固いです。ちょっとねじ穴が怪しくなりました。

スライダーの下にはブレーキホースとABSセンサーハーネスが整然と収まっています。見事な設計です、惚れ惚れします。

 

あ、ショックはもうつけてますよ。ボルトには薄くグリスを縫っておきます。当たり面とねじ山には塗らないように注意です。

 

 

ベルトをプーリーにかけてテンションの調整をします。

張力は外す前の感覚でかなり適当に張っています。このデジタルばねばかりで5kgの力で引っ張り、少したわむレベルにします。チェーンのたわみより若干きつめです。

 

アジャストボルトを締めてカムを動かしてテンションを調整、クランプの2本のボルトを締めてロックするのですが、ただロックするだけでなくちょっとしたおまじないが必要です。

 

まずロックボルトを手締めで10NM、次にトルクレンチで30NM。

ここから重要。アジャストボルトをいったん緩めて、ロックボルトを30NMで本締め。

アジャストボルトが抜けないように10NMで本締め。これで完了です。

 

 

ホイールを取り付けます。ボルトは60NMで締め付けます。

 

 

最後にマフラーを取り付けて完成です。

エキパイとの接合にガスケットを用いないのが新鮮です。

 

しかもだな。

ホイールやベルトの取り付けに左右の振れを調整しなくていいの

マジで楽だな

 

XZ400もシャフトでチェーンのライン出さなくていいから楽だったけど、ホイールのアクスルのずれは一応見とかないといけなかったし。ホイールとギアボックスを嵌合させるのも固くてダルかった。

チェーンのバイクが大半だと思うが、チェーンのラインは出さないといけないし、アクスルのずれをアジャスターで調整しないといけないし。

 

ぜんぶ、しなくていいの。

 

ドイツの化学は世界一ィィィィィィッ!!

でもネイキッドのF800Rや、後継のF900シリーズは普通の両持ちスイングアームになっちゃったんだよね。なんでやめたんだろうなこの素晴らしい足回り。

 

うーん、多分

車体価格100万円前後だとこのアーム使うとコスト回収できないんだろうな