今回は特に何も解決しないので短めです。

前回のメーター分解記事を公開して1か月くらいブログを放置したところ、何件かコメントをいただきました。それによると、メーター内のコンデンサの寿命が来て、電源の安定性に不備があり動作に乱れが出てくるということで、コンデンサを交換すると直ったのと事でした。というわけで、調査のためもう一度メーターを開けていきたいと思います。

 

 

吸気センサーも届いたので交換です。なんとなく気づいてはいたのですが、これが異常コードを出していることと、メーター不調とは一切関係がないので交換しても直りません。

とりあえず気持ちはよかった。

 

 

前回の続きなので画像を引用します。ここまでで断念していましたが、メーターの針を外すことで文字盤を外すことができ、その下のネジにアクセスできるようなります。この状態でトリップのボタンの根元に一つコンデンサがいますが、この状態ではアクセスできませんので分解します。

 

 

タコメーターの文字盤の外し方は、まずシフトアップインジケーターレンズを外します。白いパーツに爪で引っかかっているので、白い方を広げて上に引っ張って取ります。

F800Sのメーター針はLEDの導光も兼ねているのでクリアパーツでできています。XZ400のメーターニコイチでも針を折りまくっているので、とにかく慎重に外します。やることは上にまっすぐ引っ張るだけですが、保持の仕方でどうにでもなってしまいますので、スプーンなり時計用のピックツールを使うなり工夫してください。

そしてほんのちょっとでも手が触れただけでキズつく文字盤がとっても嫌でした。メーターカバーをつけるとほとんど目立たなくなるのですが、気持ち悪いですよね。

 

 

文字盤を外してネジを緩めると底面のカバーが外れ、基盤単体が取り出せます。

さっき言うべきでしたが、F800Sのメーターはステップモーター駆動のため針を戻すスプリングがありません。ですが初期位置はあるので、従来通り針の初期位置にマークしてください。

 

 

これでコンデンサにアクセスできます。

しかしめちゃくちゃ美しい基盤ですね。部品はすべてSMD(表面実装)で、モーターや外部端子だけわずかにスルーホール接続が使われているだけです。ここまでシンプルな見た目の基盤なかなか見たことありません。パソコンとかもっとごちゃごちゃしてますからね。

基本的にはLED照明やフォトトランジスタ、時計用の水晶振動子、モーターと液晶画面、メーターECUのROMと液晶コントローラーROM。そして大量のチップ抵抗とセラミックコンデンサです。そんなもの全部見てられないので、今回は電解コンデンサのみ調べます。

 

自動車の電子パーツで一番寿命が短いのがおそらく電解コンデンサです。経年すると破裂して内部の電解液が漏れ出し容量抜けします。最終的に電気を通さなくなり故障します。旧車だと必ず直面する事態で、メーターだとまだ分解できますが、イグナイタやレギュレートレクチファイアでこれが起きると結構致命傷になります。ただ分解さえできて、はんだ付けができる技量があれば交換できます。もっとも管理人は基盤への熱の入れすぎでよくパターンを焼き切ったりしていたので、はっきり言って自分でやりたくないです。はんだ付けはできるのですが、はんだを除去するのがへたくそなんですね。

 

 

今回のターゲットはアルミ電解コンデンサ2個です。

基盤の表側に16V100µF、裏側に25V100µFがそれぞれ1つです。メーター内の回路図なんか存在しないのでこれが何のための部品か一切わかりませんが、まず電源回路でしょう。

 

従来のデジタルテスターではコンデンサの容量は測定できないので、新兵器を導入します。

 

 

KAIWEETSのST600Yスマートマルチメーターを導入しました!

価格は4500円くらいだったと思います。Amazonで買いました。テスターとしては割と高価ですが、コンデンサのの静電容量を測定するとなるとそれなりの値段を覚悟しないといけないので、思い切って買っちゃいました。

圧・抵抗・導通検査は自動検知してくれるほか、すべての測定はオートレンジでメガ単位まで対応してくれます。無駄にLEDライトがついたり、交流の検電器にもなります。

そしてこのテスターならコンデンサの容量も測定できるので、これで電解コンデンサの疑惑を解いて見せましょう!

 

 

まず16Vの方ですが、こちらは正常でした。定格より6µFも多いですね。これは誤差みたいなもんでしょう。

 

 

ところがこれ、25Vもきちんと定格の容量出ました。こーれ迷宮入りです。

でかいコンデンサは正常なので交換の必要がありません。このあとセラミックコンデンサもちまちま調べてみましたが、おおよそ100µFを示しており、部品自体に問題がないことがわかります。つまりメーターは正常でした。どういうことだってばよ。

 

 

液晶は外していませんが、かなり厳重にカシメられています。おそらく基盤に直付けされているので分解はできません。絶対ややこしいことになるのでこれ以上はやめておきます。

壊してしまったら高くつきますからね。

 

 

こっから余談ですが、これがメーターECUに使われているROMです。左の銀色が水晶振動子で時計の部品ですね。もしかしたらROMのクロック周波数を決める要かもしれません。

JAPAN!と主張が激しいので調べてみると、富士通コンポーネントが作っていますね。ということは、メーターが日本製の可能性が出てきました。ただ日本精機みたいなロゴがなかったので、部品は日本から取り寄せて外側はドイツで作っているのかもしれません。

Fシリーズはショックが日本製だったりするので、それを考慮して考えると、アセンブリはドイツ、エンジンはオーストリア、フレームはイタリア、ショックアブソーバーと電子機器は日本という、もうとんでもないキメラなのかもしれません。