初回を一番面白く観たのは、冷静に外側から観たからなのか。
 
演出のショーン・ホームズさんのご挨拶もあり😊
もう少し喜劇的になっていくのかなとも思いつつ始まったばかり後半観るのが楽しみ
登場人物それぞれに違った意味でいらっとさせられ、それが自分に返ってくる感覚がいいな😁

そして観たことも忘れていた麻実れい版が記憶の奥底から甦ってきた😄
 
なんて、暢気に思っていたのに
 
コンクリの壁とフェンス、最後は鉄条網もつくフェンス、現在からあの頃を揺り起こしたかのような演出も、桜の木を切り倒すチェンそーを持った作業者(長島敬三)がかき乱す。
蘇った桜の園の人々の右往左往は、時代の変化についていった人とついていけなかった人と入り乱れて、今と何ら変わらない、結局登場人物のそれぞれにイラっとしそれが自分の醜いところを抉ってきて、負の感情を揺さぶられたようで、26日はなんとも後味の悪い観劇となった。
 
フェンスの扉を開けて出て行った作業者が、劇中ではフェンスを飛び越えて乱入してくる、最後はフェンスに鉄条網がついている、囚われた中でも気持ち悪さもある。
その中で生きる人々の生々しさと、結局ラネーフスカヤはなんだかだと皆にご機嫌を撮って貰いながら案外幸せに生きていくのだろうなぁ、嫌な女だわ。原田美枝子の説得力があり過ぎなのか、嫌悪感が募った。大体、「わからないわ」って言いながら全部わかっているだろう!って感じる冷静冷酷な目と皆に甘える時の魅惑的な目の一瞬の切り替えが凄すぎる。
それは、川島海荷のアーニャにも通ずる、彼女の一見爛漫さにもちょいうんざり。しかし彼女、前回はキングダムで観たので印象が違い過ぎ!
安藤玉恵のワーリャは養母にいいように使われている卑屈さが上手すぎる。自分より弱い立場にいると思っている前原滉のエピホードフに対してのキレ気味の対応もわかり過ぎて。。。
前原滉のエピホードフの鈍くささと厚かましさが笑えのだけれど、じわじわ怖い。
家庭教師のシャーロットが皆と違う次元にはまりこんでやりたい放題感も嫌いじゃないのだけれど、というか川上友里さんの振り切り方好き
成河のトロフィーモフがまぁ嫌な奴、偉そうなことばかり言ってるけれど何もできやしない、というところもまた自分の嫌なところを見せつけられちゃうんだよねぇ
ドゥニャーシャ天野はながチャーミングでいいわぁ。
 
結局のところ、私にとっては八嶋智人ロパーヒンの舞台だったわ。自分は先の世界へ行っていても、一番欲しいものは古い世界のものでどうやっても手に入れられない絶望
でもその奥底に、貴族に変われていた農民としての代々の歴史が澱のようにいるんだよなぁと。落札を告白するロパーニンにぼろぼろ泣いてないて泣いてしまった
 
松尾貴史の兄レオは、案外のらりくらりと時代の変化に順応して生きている、なんだかんだと伯母から金をせしめて入札にもいくし、銀行にも就職するし、
あれ??そう考えるとラネーフスカヤがいなければよかったのか?
 
市川しんぺーのピーシチクの存在がなぜかわからないけれど救いだった。彼のロパーヒンも観て見たかったな
そして村井國夫の老執事、皆について出て行こうとして鍵がかかっていて出られないまま、降りてきたコンクリの壁に閉じ込められるラストがしんどい。
 
改めて、不思議な桜の園だったな。。。