ウエクミ脚本に成河くんにターコさんに花ちゃんにって、観ないわけにいかない。
あまりに発表が間際過ぎて、1回しか観るタイミングはなかったけれど、幸いなことにアーカイブ付きの配信もありでありがたい。
作 | 上田久美子 |
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演出 | 一色隆司 |
出演 | 中村勘九郎 / 花總まり 古川雄大 / 野添義弘 安藤聖 / 成河 / 麻実れい |
スタッフ | 美術:杉山至 照明:中山奈美 音楽監督:標葉千晴 映像:松澤延拓 衣裳:富永美夏 ムーブメント:川村美紀子 作曲・編曲:Chikara Ricky Hazama, 秩父英里 演出助手:吉中詩織 舞台監督:八木清市 |
企画・制作・主催 | 梅田芸術劇場 |
制作協力 | NHKエンタープライズ |
面白かった、メインストーリーはありきたりだけど、植物と人間の二役って発想はいい
芸達者が揃ったから見応えあった。
ウエクミが宝塚という枠にとらわれずに自由に楽しく書いたなという感じの作品。計算して書いたら、後半一重の薔薇や竜胆が殆ど出てこないなどのアンバランスはなかったかもな。
人間の物語を代々続く政治家一家を真ん中に据えたので、夫婦喧嘩、親子喧嘩の中に辛辣な政権、政治家批判が組み込まれて面白い。何気ない台詞のキレ味もウエクミだわ。
麻実れいに”クロマツ”を当て書きしたところから作品が始まったとウエクミがパンフレットで語っているとおり麻実れいが圧倒的だった。誰かが異種格闘技戦の中で横綱相撲で圧勝と言っていたけれどなるほどその通りだわ。ハブツリーのクロマツ、長い時間地球と繋がって生きているクロマツの大きさと、復讐に囚われて本当の自分を押し込めて生きてきてしまったふきの頑なさと不気味さとその内側の溢れだしそうな愛情と。まぁすべての元凶はふきだったりするのだけれど、ターコさんって森フォレや昔見たメアリー・スチュワートもそうだけれど極めて自己中心的にどこか壊れた人物を演じるとなんて凄まじく魅力的なんだろうか。
花總まりのクロマツの芽の可愛いこと

あかねさす紫の花の額田王の少女時代の愛らしさより更に可愛いじゃないか

怜子の狂気も流石。花總まりの生々しさの無さがあからさまな性的な言葉を言ってもどこかオブラートに包まれて、その奥の人間としての苦悩が伝わってくるから、花ちゃんとウエクミでどんどん意欲的な作品を観たい。
主役のルイとその親友のケイに中村勘九郎というのがこの作品の肝だな。当たり前のように8歳の少年と少女がそこにいて、でもすぐにあ~これはこのケイはルイだけの友達なんだろうなと。父親の学との二人の会話で成河の学が見せる表情で、あーやはりケイはルイにしか見えないのだと気づくのだけれど、その前からわかるものなぁ。でも少年と少女が見えてる不思議。
成河の学は気持ち悪さと厭らしさと嫌な奴ぶりがリアル。息子のルイは学に懐いているけれど彼の薄っぺらい愛情でも学にとっては精一杯の息子への愛だし、ルイにとっては「愛されている実感」を貰えるから、この親子関係は間違いではないのだけれど、ぺらぺらな愛情でしかないので、息子との約束なんか忘れて、秘書にスカイブでやらしいことするし、義父に言われたらあっさり次の子作りするし、とんかつ食べながら息子を施設にいれる話をしちゃうし、おいこら学

学の「ルイのことは愛してる」って実は残酷な言葉
「を」
ではなく
「は」だもんなぁ
学にとっての怜子って愛の対象ではないと言ってるもんね、人って何気ない一言に本音が出るだよなぁ。。。でもこの「愛してる」も薄っぺらいという

このペラペラさが、クロマツに言われてしぶしぶバラと竜胆にエネルギーを送るセコイアとリンクしてて面白い
古川くんは母親の愛情に物足りなさを感じて、怜子に憧れている野口もいいけれど、一重の薔薇が最高にいい。立ち姿からプライド高い美しい薔薇で星の王子様のバラを連想しちゃった。それだけに後半出番が少なくて残念。
安藤さんはともえの実在感が素晴らしい!怜子への心情の吐露のシーンは引き込まれた。彼女は私たち観客の代表の位置づけでもあると思うけれど、安藤さんのそのバランス感覚も好き💕
野添さんの克人は婿養子で頑張ってきたんだよね、娘と孫に愛情がないわけではないけれど、それよりも自分を婿にした義父と「家」の方が大事だったわけで、妻のひろことの生活も冷え冷えだったろうなぁ。セコイアを植えるとかあからさまだわ。
クロマツの盆栽がチャーミングでいちいち面白くて最高!!!間がいいからついつい笑っちゃう。文句いってるクロマツの盆栽だけれど、人間が好きな盆栽ちゃん
しかし麻実れいと花總まりの間に一路真輝の幻想を見た自分が可笑しすぎる、確かに一路さんはたーこさんと花ちゃんの相手役だったけどもさ(笑)
それにしてもブリリアホールの1階地底席、いや~~なかなか凄いな。前方席で前列の人の頭がこんなに素敵に舞台に被る劇場って😱、オーブより酷いからな
劇場内の動線は相変わらず最悪だしさ、ここ豊島区の公共ホールだから、きっと入札で業者を決めたんだろうけど、素人に劇場作らせちゃいかんよねって思っちゃうわ。
劇場内の動線は相変わらず最悪だしさ、ここ豊島区の公共ホールだから、きっと入札で業者を決めたんだろうけど、素人に劇場作らせちゃいかんよねって思っちゃうわ。
だから、配信を見て、え!私も前から4列目、実質3列目で観たのですが、クロマツの芽も盆栽のクロマツも見えなかったので、冒頭から驚愕😲😱
木曜日に観たとき色々見逃してる気がしてきた😱😭
土曜日のティアラこうとうの大ホールがストレスフリーだっただけに、ブリリアさんよ😖😫
木曜日に観たとき色々見逃してる気がしてきた😱😭
土曜日のティアラこうとうの大ホールがストレスフリーだっただけに、ブリリアさんよ😖😫
配信の特典がこれ絶対お薦め!!
上田久美子&一色隆司の語るキャストの印象は必聴だわ
勘九郎さんの生命体としてのインパクト!! ウエクミの言葉のセンス好き
クロマツの芽と次の世界にいったルイ
全てを無くして初めて自分を取り戻し、やっとケイと出逢えたふき
ある意味救いがあって希望を感じさせるようでもあるけれど、
実は妻と息子を亡くした悲劇主人公として周囲に同情されながら学が大して引きずることもなくそれなりに幸せに生きていきそうだなと思ったら、ちょっとした地獄がそこにあってゾワゾワしたわ。
〈特典映像のキャストの印象メモ〉
中村勘九郎
単純にまず上手い
生命体としてのインパクト
長年の歌舞伎ファンなので顔合わせでとても緊張してたウエクミ、この仕事をお受けして良かったbyウエクミ
自分をルイとケイに近づいていくアプローチが他と人と違う
無理があることでも力業でなんとかできる伝統芸能の方特有か
花總まり
やっていただけて良かった、想像以上にすごい
飛び込んでいける勇気を持ってる
古川雄大
芝居がナチュラル、ピュア、役者として正しいアプローチ
ほんとに格好良い
進化がすごい
野添義弘
どーんとしてベテランなのかと思いきやドキドキされてる
チャーミング
ベテランなのに毎日模索される、ものすごく真面目
真摯に作品をつくられる
安藤聖
すごく達者で幅がすごくある
役にぴったりの方がいた!
成河
ミスター演劇、切り込み隊長
色んな引き出しがあって色んな形式をプレゼンできるフィジックな人
スペクタクルリーディングにしちゃった張本人
成河さんの情熱が燃料となって走れた
麻実れい
唯一の当て書き
いつも絶対に素晴らしいのに毎回ぐっと来るところが違う
動じない
何があっても安心してお任せできる
なんとかしてくれる信頼感
周りの空気感、役者さん、観客を感じてやってくれる
基本ラインは通してくれるけれど行く道筋は毎回違う、けれどゴールが決まると絶対にそこに行きつく
人としての強くて暖かい思いが台詞に乗ってくる器
自分が書いたものを口にしていただけるだけでも拝んでしまう