成河さんにたーこさん(麻実れいさん)、亀ちゃん(亀田佳明)と気になるキャストが目白押し。
観ない理由はないよね。
ということで、初日。
雑誌「悲劇喜劇」に戯曲が掲載されて発売されていますが、事前に読まずに出演者をざっと確認してあまり情報を入れずに観劇。
実力派揃いの出演者は凄かった。素晴らしいです。シンプルな美術も美しい。
休憩15分+10分を挟んで3時間40分の上演時間も60分、60分、75分なので全く平気。
(けれどあの八百屋舞台の傾斜は何度あるのだろう??そこまで傾斜が必要なのかしら。出演者の負担が大きそうだけれど・・・)
ということで、ネタバレありで感想です。事前情報なしで背景なども確認していないので、勘違いもあるかもしれないけれど、とりあえず初回のそのままの感想ということで。
ベルリンの壁の崩壊、水晶の夜、モントリオール銃撃事件、第一次世界大戦、普仏戦争、ダッハウ強制収容所。モントリオール理科工科大学の銃撃事件だけは記憶・知識にないが、歴史や記憶で知る出来事を背景に書かれた、「8世代2大陸にまたがる壮大な一大叙事詩」
「8世代2大陸にまたがる壮大な一大叙事詩」とはパンフレットの言葉。
実力派揃いの出演者が見せる世界に笑い、泣き、見せられてうなるけれど、女の物語を極めて男性目線の思い込みで書いた物語だというのが第一印象。ワジディ・ムワワドの他の作品を観ていないので何とも言えないけれど、親世代の呪いを子供たちが背負い続ける狂気の人々の物語と見えた。
パンフレットには「戦争の世紀に押しつぶされた声なき人たちの声が時空間を超えて、いまに響きわたる」とあるけれど、始まりは極めて個人的なありきたりな出来事が生んだ醜い悲劇だよね。
自分のルーツを辿る旅。日本でもNHKのファミリーヒストリーとか人気だけれど、ヨーロッパではそれはとても重要な事なのかしら。そこが理解できないからなのか、とにかく、もうルーを放っておいてあげてと思うのですよ。というか、亡くなった妻より今を生きている娘だろうと思うので。
リュディヴィーヌで途切れたかのように思えた血の呪いが更に連なっていくのもちょっとねぇ。実際はそういうこともあるかもしれないけれど、それならば元々の呪いをあそこまでエグくする必要があったのかしら??
「戯曲」へのモヤモヤを除けば、素晴らしいです。
成河:は言わずもがな。ダニエル何気ない台詞で笑っちゃうのなんでだろうw
瀧本美織:は声もいいし芝居も上手いし何よりとても魅力的。
麻実れい:はやっぱり素敵。冒頭のクリュイタムネストラがまず流石。リュスが格好良い、そしてサラとのシーンで娘に戻るのも鮮やか。公証人プティは品よく優雅に。
岡本健一:この人の持つ生々しい気持ち悪さというか厭らしさがつくづく素晴らしいと思う。三役の切り替えも鮮やかでサミュエルで若返るのもすごいな。
亀田佳明:もうお手の物って感じに見えちゃわ
小柳友:エドガーで放つ実在感と猛々しさが好き。
松岡依都美:この人のリュディヴィーヌに泣かされた。特にセリフが無い時の佇まいが力強くて明るくて孤独で悲しくて好き。
はてさて2回目はどう見えるのかな。とりあえず悲劇喜劇を買ったので戯曲を読んでみましょうかね。