
逆再生ミュージカル
ソンドハイム作詞・作曲のミュージカル、初演は40年前の1981年。描かれるのは1976年からさかのぼって始まりの1957年までの20年間。主要キャストは20代から40代を演じることとなる。
今回は2012年の英国再演版の翻訳版ということで、演出はマリア・フリードマン。コロナ禍で来日が叶わずリモート演出になったようなので、色々大変だったろうと思うけれど、確かにとてもスタイリッシュな舞台。ソンドハイムの曲も耳に馴染む。
平方元基を始め実力者揃いの出演者も困難な状況もあったろうに、とても素晴らしい。
けれど、けれど・・・私にはメアリーをはじめとするこの作品の登場人物たちが受け付けられず、幕間帰りたくなるほどの苦痛だった。映画完成で軽薄だけれど一応祝いの場で、一人場違いにわめきたてるメアリーがもう全然だめで、いや玲奈ちゃんの演技は素晴らしいと思う、中年太りのめんどくさいアル中を見事に演じてくれていて、ほんとに玲奈ちゃん??って感じ。でもね、でもね。「メアリー」自体がダメなんだわ。ダメ人間の物語もいいのよ、好きなのよ。でもね。でもね、あなたが一括りにバカにしている人たちだけど、彼らの方がよっぽどましだよ。う~~ん。酔っぱらいが全部だめってわけではないけれど、自分の凋落を親友のフランクに八つ当たりしている感じが嫌なのかな、そこに甘えを感じたからなのかな。
ラストで、何故チャーリーとフランクの友情にメアリーが混ざったのかが全く理解できずに終わったのよねぇ。
1981年の初演当時ソンドハイムは51歳だから、当時のソンドハイムが当時感じていたであろう空虚感とか若かりし日々への甘やかな哀傷がたっぷり投影された作品なんだろうけれど、まぁそこが私には合わなかったとことなんだろうな。
ウエンツくんのチャーリーがチャーミングなのは、この作品の救いだよね。
チャーリーは一歩間違えばかなり嫌な奴になりかねないと思うし。
そうそう、元基くんの前妻のベスが昆ちゃんで、ロミジュリ初演から10年を最近あちらこちらで意識してたせいもあり、あ~~ティボルト、ジュリエットと結婚できてよかったね~~なんて思うっちゃった。
2011年初演のロミジュリは鮮烈な印象がまだ残ってる。あの作品もはまこちゃんが乳母でなかったら見損ねてただろうから、ほんと感謝だわ。ジュリエットの昆ちゃんの鮮やかなデビュー、若さ溢れる城田優と山崎育三郎のロミオ、その容姿と歌声で甲乙つけがたかったティボルトの平方元基と上原理生、ベンヴォーリオの浦井健治の見事さ、そしてなんといっても石川禅のジュリエット父!!!神父も安崎求で未来優希の乳母と聞かせる聞かせる!!みせるみせる!!懐かしいな。
あ、いやロミジュリの話ではなかったですね。
ということで、あの、作品のキャラとストーリーが受け付けなかっただけで、出演者は素晴らしかったですよ。