新ヴォルフガングが登場した三年前に演出ががらりと変わり、ピアノと銀橋が登場。

今回はその新演出を踏襲。二人のヴォルフも続投だ。コンスタンツェが木下晴香ちゃんのシングルになってはいるけど、メインキャストははぼほぼ前回と変わらないかな。

コンスタンツェ姉のアロイズィアが秋園さんじゃないのが寂しいけど、ロミジュリがあるから仕方ないよね。

新演出が馴染だ感じで、やっぱり小池先生の演出好きだわ。エンターテインメントとして豪華に楽しく見せるシーンと心をえぐってくる心象シーンバランスが好き。

 

モーツァルトは実はあまり観てなくて、2014年に井上芳雄さんがラストになると知ってなんとしても観なければと帝劇に行ったのが最初。2018年は新演出に若干戸惑いを感じつつ、山崎ヴォルフに納得できなかったので(ちなみに2014山崎ヴォルフはすごく好き照れ)、とりたてて観たいとは思わず、エールでプリンスにハマった友人の希望でお付き合いしてきました。

 

が、これがまぁ良かったんですよ。あの2018年のあの日観たあのもやもやイライラは何だったんでしょうね。軽薄で自分の才能にすら振り回されてしまうヴォルフ、いい。

ちょっと気になったのは口紅の赤さかな💦。

 

しかし、モーツァルトって耳にすると東京宝塚劇場で上演中の雪組公演「fff」の彩みちるちゃんのモーツァルトが出てきて、混ぜるな危険案件でしたわ爆  笑

 

木下コンスタンツェ!、2018年はどちらも平野綾ちゃんで観たので、お初の木下コンス、幕開きの低めの声がすっと入ってきて、お!いいぞ。

すらっとしているので、本編での登場シーンはうわ~~可愛い~~っお馬鹿さんて感じが薄くて、こんな感じなのねって流したけれど、ヴォルフとプラター公園で再開してから魅力が花開いていく感じ。ダンスがやめられない等、業の深さと幸の薄さが晴香ちゃん自身が持つ清楚な品の良さを失わないままに表現されて、このコンスも好き。あと踊れる人なので、ヴォルフとピアノの上で戯れるシーンでも動きが綺麗。クリスティーヌ等で感じた物足りなさは何だったんでしょうね。

 

大好きなみりあちゃんがどこにいても可愛くて色っぽくて素敵でラブラブでした~~。

 

しかし、このモーツァルトも父と息子の物語よなぁ。なんで同姓の親は同姓の子供に自分を投影しようとしがちなんだろう。才能ある息子を自分の所有物としたがるんだろうねぇ。(fffを思い出したよー)。そして父親の呪縛から逃れたいのに、父親に認めてもらいたい息子よなぁ(アリージャンスのサミーやスリルミーの彼を考えたよー)、まぁこれは母親&娘でもありがちなんだけど、親とか子供とかいう立場よりも「一人の人間」としての立場を優先しなきゃいかんわ。

 

まぁ私自身の感覚がちょいと人とずれているのは自覚してます。

小さい頃に両親の離婚で実母と別れた母親は実母に捨てられたという記憶を持ち続けており、実母を憎み続けていたので、父親に溺愛され、継母に愛され、伯母に愛されて育ったにも関わらず、どこかで死への願望を持ち、自分が母親になることに恐怖を抱いていたらしい。

それが、初めての子供である私を産んで救われたと・・・。それをずっと口にすることはなく30年後、私が30歳になり結婚の話が出てきたときにやっと告白してくれた。

で、その母の告白を聞いた私は(当時結婚するしないで色々とぐちゃぐちゃになっていた)、

え~~勘弁してよ~~、そんな重荷背負わせないでよ~~ って拒否反応が出ちゃって💦

社交的で友達が多くて誰とでも仲良くなれて集団の中で中心人物になれる母と、その母に似て友達の多い弟と、仲の良い友達はいたけれど、集団の中で浮くことの多かった自分を見比べてどこかでコンプレックスを抱いていたので、余計にね💦

 

ということで、父親の幻影の囚われ続けてレクエイムを書き、ある意味神の世界へ逃避したヴォルフより、「自分なんか死んじまえ~~」って言いながら、自分の才能と生に生きて不幸という運命さえもまるっと抱きしめて泥臭く生きた『fff』のルードヴィヒ・ヴェートーベンに共感するわ。