2月は第一部日程が合わず、結局第1部だけかな

木挽町広場にはお雛様
第三部は十七世中村勘三郎三十三回忌追善なんだけど、今回はみられずじまいなので写真だけ。
ロビーにはお写真とお花も。残念ながら歌舞伎に出逢う前に亡くなられているので、実際の舞台は存じ上げないのですが。
 
三階の写真に藤十郎さんが・・・。寂しいなぁ。
私が歌舞伎に出逢ってから鬼籍に入られた方が12名。
 
さて、第一部は「本朝廿四考~十種香~」と「泥棒と若殿」
時姫、雪姫と並んで三姫として女方の大役である十種香の八重垣姫。
絵姿だけで勝頼に恋する八重垣姫は三姫の中で一番好き。
 
歌舞伎に出逢ったばかりの頃、歌舞伎座で観た先代雀右衛門さんの八重垣姫が大好きで、あれから20年以上たってますが、いまだに目に残っています。
1998年の南座の仁左衛門襲名が歌舞伎初体験で、1999年2月に大阪松竹座、そして、3月に当時住んでいた岡山から夜行バスに乗って歌舞伎座へ初遠征。当日券に並んでいたら、係員の方出てきて「夜の部の1等席希望の方いますか?」と言われたので迷わず手を上げたら、関係者席でキャンセルがあったので、と出していただいたのが、前から2列目のセンターブロックの下手側のお席、演目が雀右衛門さんの十種香、大森彦七、玉三郎さんに菊之助、新之助(現海老蔵)の天守物語。思い出すだけでもあの時の感動がよみがえってしまいます。
 
さて、今回の十種香は八重垣姫:魁春、勝頼:門之助、濡衣:孝太郎
歌右衛門の八重垣姫はこんな感じだったのかなぁと思わせる前代雀右衛門のただひたすら可愛くて愛らしくい恋する乙女の八重垣姫とちょっと違う、なんだろ、微妙な不気味さ?というかそういうものを感じてしまう。
門之助の勝頼は似合うけれど、私にはあまりひっかからず・・・
今回はなんといっても孝太郎の濡衣!こんなにいいお役だったのかと思う程、こんな幸福に出逢えるから観劇はやめられない。
今日は孝太郎の濡衣に終始目が釘付け。 身代わりで切腹した恋人への思い、亡き恋人を勝頼に重ねてしまう悲しさ、八重垣姫への姉のような母のような凛とした優しさ、こんなにいい役でしたっけ。八重垣姫との対比で出過ぎてはバランスが崩れてしまうと思うのですが、決して出過ぎず目立ち過ぎず、でも登場の形の美しさからもうもう、素晴らしい。はぁ、良いものを見せて頂きましたわ。
 
そして「泥棒と若殿」
巳之助くんはワンピースのボンちゃんとか癖のある役をすることが多いけれど、この若殿のようなたおやかな二枚目もとてもいい。食事するときに箸の持ち方の美しいこと、食べる姿の美しいこと、伝九郎ではなくても守ってあげたくなる魅力にあふれて、それでいて凛としていい殿様になるのだろうなぁと思わせる。
松緑さんの伝九郎ははまり役ですよね。人の縁に恵まれずに生きてきたのにまっすぐ優しい中年男、守りたい誰かを見つけてイキイキする伝九郎が、自分を置いていこうとする成信にかけた「ノブさん・・・」の言葉で涙腺崩壊、また捨てられるのかとすがりつくようなまなざし。
そして、最後旅立つ成信を悲しみをこらえて笑って送り出す伝九郎えーん
これはもう巳之助くん相手だからだからこそなんだろうなぁ。
山本周五郎らしい心がほわっとあったかくなる作品。ぜひみんなに観てもらいたい作品です。