本当にチケット難で当日券にも玉砕し、結局大劇場の千秋楽ライブビューと1月後半にB席で一回、東京千秋楽ライブビューをやっとこさ観られたという状況。
それでもこの作品を観られて本当に良かった。

大劇場の千秋楽ライブビュー。
階段に座った望海風斗演じるエリックが僕の叫びを聴いてくれと歌い出した瞬間から涙腺崩壊...。ただただありのままの自分を受け入れて欲しいというエリックの心の叫びに一気に引きずり込まれた。これまで観てきたどのエリックよりも年若い望海エリック。その実年齢よりも幼くて純粋なのは、生立ち故か、でも圧倒的な音楽の才能に恵まれた彼はオペラ歌手であったとしてもその幼さと純粋さは変わらないだろうなぁとも思う。
望海風斗の歌唱力は知っていたつもりだったが進化していて次元が違った。台詞よりも歌の方が心情が真っ直ぐ届いてくる。それにしてもシングルキャストで出突っ張りでダンスもがんがん踊ってあの歌声をキープし続けるって凄いわ。あ、でも男役の歌上手さんが公演中に喉を痛めるってあんまり聞かない気がする。裏声で歌う娘役の方が負担が大きいのかな。
真彩希帆のクリスティーヌがまさに天使の歌声で、舞咲りんのカルロッタが上手いけれどうるさいという絶妙さなので、音楽だけを拠り所に生きてきたエリックがクリスティーヌの声を聴いて天使の歌声を見つけたと喜ぶのが共感できた。
エリックにとってクリスティーヌは大切な大切な宝物。自分を愛してくれるはずはないと思いつつももしかしたらと期待して、でも彼女の愛が欲しいのではなく、ただ彼女を守りたくて受け入れて欲しいだけだったように思う。だから一瞬でも彼女に愛されたことを素直に喜べるのかと。
母親はエリックを美しいと思っていたというキャリエールの台詞で昔読んだ「五体不満足」で乙武洋匡さんが産まれた時心配する周囲を余所にお母様がまぁなんて可愛い!と抱き締めたエピソードを思い出した。見かけなんて実は些細なことで、みんなそれぞれ愛おしい存在なんだよね。

真彩希帆のクリスティーヌは天使の歌声は圧倒的。ただ声がいいだけの少女がオペラ座で主役を歌う歌手への成長もカフェでの緊張と毒で声が出ないところも、実際にそうなの??と思うほどの巧みさ。歌のコントロールが凄すぎるわ。ただ歌が好きって感じで人の話をちゃんと聴いていないところがいい。シャンドンさまにも冷たい(笑)というか話聴いてないでしょ(笑)。ちょっと浅はかな感じも好き。エリックを異性としてというより人として愛したんだろうなぁ。
割りと単純に思っていたより酷いエリックの痣にびっくりして、逃げ出してしまっただけで、後から彼を傷つけたと後悔するのもなんだかわかる。「お顔を見せて」に大した覚悟はなかったものなぁ。
だからこそ、素直にエリックを受け入れてくれたように思う。ラストシーン、ピアノを弾いてこぼした涙が綺麗だった。

カルロッタの舞咲りんは、文句なしのMVPだわ。オペラ座で主役を歌っても納得の迫力とエリックが狂いそうになる下手さが絶妙。これまで歌姫が演じてきて、クリスティーヌよりと歌が上手いことが多かったので、今回の配役でやっとあるべきところに納まった感がある。やり過ぎギリギリで踏みとどまってくれるから安心して笑えるわ。

彩風咲奈はこのキャリエールで階段を登ったね。いやほんともうびっくり。望海エリックを父親として包み込んでしまうのだから、そしてここまで歌えるようになるなんて。ファントムにおいては全ての元凶はキャリエールだと思う。妻子があるのに恋をして子どもを産ませて、醜い痣があったからとオペラ座の地下でこっそり育ててって、ほんと酷いわ。でも彩風咲奈のキャリエールはそうしてしまう弱さになんだか説得力があった。エリックとの銀橋は涙が溢れて溢れてふたりのぎこちない愛しかたがもう堪らないわ。エリックを撃った後、銃を握った右手を左手で掴み、ゆっくり銃を離すとかもうねぇ。最後までエリックに寄り添うのがクリスティーヌではなくジェラルドなのも納得。さきちゃん次回作期待してます!

剣幸さんのミーマイのように直ぐ再演して欲しい!無理ならサヨナラ公演ファントムでいいんじゃない?このファントムはもっともっと色んな人に観て貰いたいわ。劇場で二人の歌を聴いて欲しいわ。再演切に希望します!!

あ、ライブビューでも一緒に『ファントム 閉幕 ありがとう~』やりましたよ(笑)