古民家の宿 小森家 ~桜滝~
大分県日田市天瀬町と同県玖珠町を走る国道10号線沿いに『慈恩の滝』が
見える。観光名所だ。道の駅には休日ともなると大型観光バスが停まり、スマ
ホやカメラ片手に韓国、中国人らの外国人観光客が降り立つ。しかし、観光客
の目には「普通の滝」のようで、歓声などは余り聴こえない。滝は2段で水飛
沫も少なく大人しい感じだ。恋人や知人と記念写真におさまる観光客の姿がな
んとも微笑ましい。ある人はこの滝を「女滝」と呼ぶ。
写真の滝は雑木林の中から忽然と現れる。幅15㍍、落差25㍍から水飛沫
を上げ、流れ落ちる滝だ。飛沫を浴びながら見上げると、飛沫はまさに「桜吹
雪」のようだ。天瀬町のJR天ヶ瀬駅を玖珠川沿いに2、3分、旅館ホテル街
を下り、わき道に入って小さな鉄橋をくぐり抜け数分の距離。途中の崖沿いに
桜の木が植えられ、急峻な崖には雑木が茂っている。まるで滝を守り隠してい
るようだ。誰が付けたか、この滝を『桜滝』と名付けた。ある人は「男滝」と
呼ぶ。勿論、慈恩の滝を意識し、比べての命名だ。
私は密かにこの滝に惚れている。何よりも、「古民家の宿 小森家」から歩
いてたったの10数分。露天風呂を楽しんだ後、散歩がてらにこの滝で、目の
保養をするのも一興だ。この滝を訪れる人はまばらだ。ほとんどの人が知らな
い。大分市に20数年住んだ私も知らなかった。この滝の四季折々の姿を想像
するだけで心が沸き立つ。
2017年11月 古民家の宿・小森家


