「わたしは自分では

 先読む力を持ってる気ぃが

 せんかった。


祖父の勤めの時には

同席したったが

祖父の郷民への受け答えが

わたしの考えるより早すぎて


わたし自身の判断が

先々を見越す暇がないままに

過ごしていたから


本当に自分は名継ぎなんだろうかと

疑問に思っていた。


そら小さい頃からみなにはよう言われたぞ

"さすがは名継ぎさまだ、

 言った通りになったわー"

"リュウガ様が選んでくれたから

 また全部うまいこといったわー"

なぞとなあ。


でも日々の細いことがほとんどで

どんな事があったったか

話して聞かせるほどの事など

もう思い出せんわあ。」


「でも…」

なんとか聞き取ろうと

じっと黙っていたけど


僕はあわてて言いました。


「僕の2年生の時の目通りの式では

 ほんとにびっくりしました。


 おじいちゃんは

 僕が初めての場所にとまどってるのを

 僕はなんでもないふりしてたのに


 何をどう感じて

 何に困ってるのか

 にこにこ優しく言い当てて


 気持ちが落ち着くように

 とにかくゆったり話してくれて

 学校や友達の話も自然にできて…


   ぜんぜんそんなところでそんな話

 するつもりなかったのに

 いつのまにか…


   そんなで…

   だからひいひいおじいちゃん、

 すご過ぎって思って…」


そこで美津子おばさんが笑い出した。


「はあはっそりゃ先読みの力とは

 ちょっと違うなあ、 

 じいちゃんの元からの人柄かねー


 まあ、心延えっていうのも

 名を継いだ者の重要な要素だわな」