東京都心の緑地の破壊と批判がある、明治神宮外苑地区の
再開発を巡って、事業者側からの樹木保全策の提出が遅れて
いる、と報じられています。案を東京都が了承すれば、高木
の伐採開始に近づくということですが、7月の都知事選で
再開発の可否を争点化する動きもあり、伐採時期が選挙後
まで先延ばしされいる可能性もある、とのこと。再開発計画
は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を変えて建て替え、
さらに超高層ビル2棟を新築する、というものです。約
3490億円の事業費で、民間4事業者が、昨年3月に着工
しましたが、環境影響評価(アセスメント)の手続きの流れ
で事業者が検討するとしていた樹木保全の具体策を伐採開始
前に示すよう都が求め、高木の伐採作業が止まりました。
再開発計画では、1904本ある3メートル以上の高木の
うち、743本を伐採し、275本を移植し、837本を
新たに植える、としています。ユネスコ(国連教育科学文化
機関)の諮問機関「イコモス」の国内委員会は、「貴重な
生態系の破壊」などと主張しています。外苑の代表的景観に
なっているイチョウ146本、4列の並木は伐採されません
が、新球場建設による生育への悪影響が懸念されています。
この計画については、昨年3月に亡くなった坂本龍一さんも
亡くなるまで反対されていました。再開発計画の施行は、
2023年に都が認可していて、現時点で計画修正に関与
できるのは、環境アセスの手続きしかない、ということ
です。軽井沢でも、高木を伐採しても、それ以上新しい木を
植えるから、ということが、よく言われます。しかし、高木
には、イコモスも言っているように、動植物などの生態系が
あり、それが壊されてしまいます。本数だけそろえればよい
ということではありません。都知事選でも、多いに議論して
もらえばよいと思います。樹木が保全され、緑が失われない
ことを願っています。