3月8日の国際女性デー前後に、男女平等についての様々な
報道がありました。そのひとつが、選択的夫婦別姓です。
1996年に、法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を
答申しましたが、自民党からの反対で法案は提出されません
でした。当時の法制審議会の部会長は、私の父である加藤
一郎(元東大総長)でした。国会議員として、私も、議員
立法を再三提出しましたが、ほとんど審議もされず、依然
として、別姓を選べない世界でただひとつの国のままです。
8日には、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は個人の
尊重などを定める憲法に違反し無効だとして、北海道、
東京都、長野県などに住む30~60代の男女計12人が、
国に対し、別姓のまま婚姻できる地位の確認や損害賠償を
求め、東京、札幌の両地裁に提訴しました。最近の特筆
すべきニュースとしては、経済界が動いていることです。
経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は、2月13日、
選択的夫婦別姓制度について「一丁目一番地としてぜひ
進めていただきたい」と述べ、政府に取り組みを促し
ました。経団連会長が、公的な場で、この制度の導入を
求める発言をするのは、初めてでした。提言を今年度前半に
まとめて、実現に向けて働きかけていく、と報じられて
います。経団連は、3月8日に、要望書を、法務省、外務省
に手渡しています。経団連は、従来、政府が進める旧姓の
通称使用の取り組みを支持する姿勢でしたが、ここ数年、
夫婦に同姓を義務付ける制度が「ビジネスを阻害している」
という声が企業からも上がっていた、ということです。制度
の改正を求めるようになった背景には、旧姓をビジネス
ネームとして使う女性の役員や管理職が増えてきたことが
ある、とのこと。海外を企業の幹部の女性が訪問する際に、
ビジネスで使う旧姓とパスポートの性が異なり、ビル入り口
のセキュリティーチェックで、毎回止められた、などの経験
がある等、通してもらえなかったら、会社に損害を与える
ことになり、姓をめぐる問題が経営リスクだと認識される
ようになった、ということです。自民党を長年支援してきた
経済界からの動きが、動かない保守層を動かしてくれること
を期待します。