性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力を

 

なくす手術を事実上求める性同一性障害特例法の規定(生殖

 

能力要件)が憲法に違反するかどうかが争われた家事審判で、

 

最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は、昨日25日、規定を

 

違憲、無効とする判決を出しました。最高裁による法令の違憲

 

判断は12例目となり、特例法では初めてです。裁判官15人全員

 

一致の結論です。もう一つの「変更後の性器部分に似た外観を

 

持つ」(外観要件)との部分は差戻、高裁段階での再審理を求め

 

ました。決定の骨子は、〇性同一性障害特例法の生殖能力要件

 

は、意思に反して身体への侵襲を受けないと定めた憲法13条に

 

反し、違憲で無効 〇特例法の要件は見直しを迫られ、同様の

 

当事者は生殖能力喪失の手術を経ない性別変更に道 〇手術

 

をしない性別変更に伴う社会的混乱は極めてまれと考えられる。

 

医療が進歩し、性同一性障害への理解も拡大 〇特例法の外観

 

要件は差し戻して高裁段階で再審理へ。現段階での性別変更は

 

認めず というものです。当事者の意思を尊重する転換点となる

 

判決として、評価できると思います。2004年の特例法施行当時、

 

手術要件は海外の法制度を参考にした規定でしたが、各国では

 

人権上の観点から次々と廃止されてきました。日本で20年も

 

かかったのは、性的少数者の権利擁護の議論が深まらなかった

 

からだとされています。国会での見直し議論が、すぐに始められる

 

ことを望みます。保守系議員は反発していて、男性の体のまま

 

女風呂に入浴するのを認めるのか、という声も上がっている、と

 

報じられています。当事者は、そこは配慮して行動しているのに、

 

とも。外観要件の是非が、銭湯やトイレの利用で問題とされ、

 

トランスジェンダーに対する根拠のないヘイト(増悪)を生む要因と

 

なってきたことは懸念され、手術要件の縮小でこれが強まることは

 

避けなければなりません。古い概念を見直し、裁判所の判断を

 

待つことなく、特例法の見直しを国会で行ってもらいたいと思い

 

ます。