岸田首相は、昨日20日、自民、公明の与党幹部と官邸で面会し、
所得税減税を含めた税収増の還元策を検討するよう指示しま
した。減税は、一定額を納税額から差し引く形を軸とし、期限付き
とする方向。所得税を納めていない低所得者や高齢の非課税
世帯には給付での対応を検討する、と報じられています。宮沢
自民党税調会長は、減税期間は、1年が極めて常識的、と語って
います。防衛費のための増税などで、「増税めがね」と言われた
ことを、岸田首相は気にしていて、それを払拭したい意向のよう
です。国民は、増税より減税の方がうれしいに決まっていますが、
その財源や、物価高への効果が疑問視されている中で、将来
へのツケを残して、目先のことだけを考えるのはよくない、と
わかっていると思います。この時期に打ち出したのは、22日
投開票の二つの補選で苦戦が予想されるから、その選挙対策と
いうのでは、あまりに姑息です。BNPパリバ証券チーフエコノミスト
の河野氏は、「一時的な減税は、貯蓄に回るだけで景気刺激効果
はもたらさない」「物価高による負担をやわらげる、という議論
だったら、最もダメージを受けている低所得者層をサポートしない
といけない。ターゲットを絞って手厚く支援することが経済政策の
あるべき姿だ」と話しています。また、一橋大の佐藤主光教授は、
「とるべき税金をとらないということは、ばらまきをやっていることと
同じ。税収が増えたからといって還元していては、永遠に財政赤字
は減らない」と指摘しています。その通りで、私たち有権者は、
補選だけでなく、近くあるかといわれている解散総選挙でも、この
ような餌のばらまきに引っかからないようにしないと、と思います。