岸田首相は、昨日25日、配偶者に扶養されるパート従業員などが
社会保険料の負担を避けるため働く時間を抑える「年収の壁」に
関して、10月から対策を実施すると述べました。従業員の保険料
を肩代わりする企業に、1人当たり最大50万円を支給する補助金
を新設し、手取りが減らないようにする手当を創設する考えを示し
ました。支援強化パッケージを週内に決定するとした、と報じられ
ています。パートで働く人など「第3号被保険者」が、年金や医療の
保険料を負担しないように働く時間を抑える「年収の壁」は大きく
二つ、「106万円の壁」と「130万円の壁」があります。106万円の
壁については、事業主への助成金、手取り収入が減らないように
従業員の労働時間を延ばしたり、基本給を増やしたりした企業に
補助金を支給します。130万円の壁については、年収が一時的に
130万円を超えても2年までは扶養から外れないようにする対応
策が盛り込まれる見通しです。最低賃金が引き上げられる10月
から実施するとのこと。これは、一時しのぎに過ぎないと思い
ます。問題は、国民年金の「第3号被保険者」の制度にあります。
会社員や公務員に扶養されている配偶者は、保険料を負担せず
に老後に基礎年金を受給でき、そのほとんどが女性です。男女
平等に働ける社会にするため、これまでも議論はされてきました
が、未だに改正されていません。この制度は1986年に導入
され、それから37年も経っています。その間に働く女性は増え、
専業主婦を基本とした形ではなくなり、最低賃金も上がってきて
います。今回の一時しのぎのやり方は、保険料や税金を自ら
支払って働いてきた女性などとの間で不公平なものになります。
政府は、2025年に年金改正を予定していて、それまでのつなぎ
ともいっていますが、ぜひ、第3号被保険者制度の抜本改革を
望みます。