教員確保策を話し合う中教審の特別部会は、8月28日に、

 

長時間労働の是正に向けた緊急提言をまとめました。その

 

ポイントは、〇年間の授業時間が国の基準を大きく超える学校に

 

改善を促す 〇運動会や入学・卒業式といった行事で「前例に

 

とらわれた部分」をやめて時間を削減 〇教員の「勤務間インター

 

バル」導入を検討 〇保護者の過剰な要求に組織的に対応し、

 

教育委員会も支援体制を構築 〇授業以外の業務を支える

 

スタッフの大幅拡充、というものです。2022年の公立学校の授業

 

計画に関する文科省調査によると、小学5年(1こま45分)で基準

 

となる1015こまを大きく超える「1086こま以上」の学校は37%

 

ありました。提言は、「指導体制に見合った計画にする」と削減を

 

求めました。教員が終業から次の始業までに一定時間の休息を

 

確保する勤務間インターバルの必要性にも言及しました。ただ、

 

中身は、2019年の答申など、これまでのものとあまり変わらず、

 

過酷な残業をこなす学校現場からは落胆の声が漏れている、と

 

報じられています。焦点の一つは、特別部会が今後議論を本格化

 

させる給与制度です。教職員給与特別措置法に基づいて、給与

 

月額の4%相当を上乗せ支給する代わりに残業代を支払わない

 

仕組みです。「定額働かせ放題」と皮肉られてきた、とのこと。

 

公立校の教員は、部活動などの時間外勤務は自発的活動と

 

され、残業代が出ません。仮にきちんと支払うと、追加で1兆円

 

規模の予算が必要になる、といわれています。必要な経費は、

 

しっかりと予算をつけるべきです。教員定数の拡充や、小学校

 

高学年での教科担任制も含めて、対応してもらいたいと思います。

 

提言は、「教師を取り巻く環境は、我が国の未来を左右しかねない

 

危機的状況にある」としています。教員の確保が難しくなり、過労

 

で心身を病んだり、職場を去ったりしている現状を見ると、その

 

通りだと思います。予算を確保して、教員を、人を大事にして

 

もらいたいものです。