介護保険制度の負担増にむけた議論が、昨日10日、厚生労働
省の社会保険審議会の部会で再開されました。昨年末から2度
先送りされた結論について、来年4月の介護報酬改定を控え、
今年末までに出す方針、と報じられています。人手不足で介護
職員の処遇改善が必要であり、また少子化対策のための財源
確保も求められ、難しい判断を迫られている、とされています。
負担増の焦点は、①利用料を2割負担する利用者を現在の
「被保険者の年収上位20%」までを「30%」に引き上げる
②高所得者の保険料引き上げ。現在収入に応じて9段階の標準
モデルを示していますが、合計所得320万円以上の区分
(保険者の7.1%、255万人)を細分化して引き上げる
③介護老人保健施設などのの多床室の質量全額自己負担化、
といった案が出されています。介護職員の処遇は、月額平均
31万8230円で、全産業平均の36万1千円を大きく
下回っています。厚労省は、2019年度と比べて、23年度
までに介護職員を約22万人、40年度に約69万人増やす
必要があると見込んでいます。しかし、21年度までの増加数
は約4万人にとどまっています。社会保障制度については、
これだけ超少子高齢社会になっている中で、バラ色の未来は
ありません。どれだけ公平に負担しあって、必要なサービスを
受けるか、という話です。ですから、介護職員を増やすために
負担を増やす議論は、当然だと思います。所得の差を考え、
納得できる形で。一方で、少子化対策のための財源確保として、
表向き負担を増やさないという首相の考え方で、介護や医療の
費用を削減するのは、やり方が違うと思います。サービスを得る
には負担が当然、ということで、増税も含めて、恒久財源確保に
ついて、正面から議論してもらいたいと思います。