日本を代表する研究機関の理化学研究所で、今年春、10年を

 

超える有期雇用を認めない「10年ルール」の結果、雇止めに

 

なった研究者や技術職員が、計97人いることが、わかりました。

 

理研労働組合が、18日、厚生労働省で会見を開き、明らかに

 

しました。組織単位で雇止めの実態が明らかになったのは初めて

 

のこと、と報じられています。2013年に施行された改正労働契約

 

法などによって、有期雇用が通算10年を超えた研究者は無期

 

への転換を求められるようになりました。本来は、不安定な有期

 

雇用ではなく、一定の期間務めた人は無期雇用にするよう、

 

労働者のために改正されたはずです。ところが、雇う側は、人件

 

費削減などを理由に、通算10年を超える直前に、契約を打ち

 

切り、そうした研究者が多数出ることは、懸念されていました。

 

理研では、今年3月末で、通算10年を迎える研究者などは203

 

人にのぼる、と公表していた、とのこと。このうち97人が、理研を

 

退職しました。。一方で、理研は、昨年9月に、通算10年という

 

上限を撤廃する、と発表し、一部の研究者については、4月

 

以降も「理事長特例」などで、計106人の雇用を継続しました。

 

しかし、中には、降格された上で、雇用継続になった研究者も

 

いる、ということです。降格した男性は、「研究職員の雇用だけに

 

とどまらず、日本の科学技術の問題だ。多くが博士号を持った

 

研究者に対して、研究の評価、進捗の検討もなしに、10年で

 

機械的に雇用終了を強行した。許しがたい。」と訴えている、という

 

ことです。文部科学省は、大学や研究機関で、実際に雇止めに

 

あった人数について、調査を行うそうです。大学や研究機関で

 

研究者が有期雇用で不安定な働き方をしていることは、以前から

 

問題となっていました。それを是正するための制度が、かえって

 

職を失わせるなどマイナスに働いていることが、わかったわけです

 

から、国としても、改善するために力を注いでもらいたいと思い

 

ます。そうでないと、日本の科学技術は、衰退していくという危惧を

 

持ちます。