性的少数者への理解を広める「LGBT理解増進法案」について、
自民党は、一昨日12日、法案に反発する保守派議員などに配慮
した修正案を党内会合で事実上了承しました。週明けに総務会で
決定し、19日に広島で開幕する主要7ヶ国首脳会議(G7サミット)
前に議員立法として国会に提出する、と報じられています。2021
年に与野党が合意した法案を、自民党が単独で修正し、事実上
骨抜きにして、国会に提出する方向になっていて、看過でき
ません。修正されたのは、法案の根幹となる目的から「性的志向
および性自認を理由とする差別は許されない」という記述を削除。
同じ記述があった基本理念は「不当な差別はあってはならない」
としました。これでは、差別に正当なものがあるようで、一部の
差別は温存したいのだ、と受け取れます。保守派は、きちんとした
認識を持たない発言をしています。「性自認」を「性同一性」に
修正したことは、本来は同じ意味なのに、「性自認は自分の認識
だけで臨機応変に変更できる」という誤った言説に基づいていて、
差別につながりかねない、と指摘されています。「自分の性で権利
を認めれば、トイレや風呂で性を都合よく使い分けた犯罪に
つながるケースもある」などの主張に対応した、とのこと。何という
誤った考え方でしょう。また、「学校設置者の努力」の文言を削除
し、「事業主等の努力」の条項に含める形に変えました。子どもの
頃からの理解が必要なのに、範囲を狭めすぎです。当事者など
からは、「法律を議論することが、逆に差別を広げている。非常に
絶望的な状態だ」という声が上がっています。立憲民主党や共産
党は、自民の修正案を批判しています。広島でのG7では、LGBT
を含む性的少数者の権利を保護し、人権状況改善に取り組む
決意を明記する方針が固まっています。日本だけが法整備して
いないことは恥ずかしいことです。それでも、G7に間に合わせる
ために、形だけの骨抜き法案を通したのでは、禍根を残すと思い
ます。