外国人技能実習制度の見直しを検討する政府有識者会議は、
昨日10日、制度を廃止し、「人材確保と人材育成を目的とする
新制度の創設」を求める中間報告書のたたき台を事務局が示し
ました。この制度は、途上国への技術移転を名目に、実際は、
安い労働力として、人権侵害が頻発し、問題になっていました。
実習生が、国内労働力として貢献している実態に合わせつつ、
未熟練者の人材育成機能は維持する。即戦力を想定した人材
確保目的の「特定技能」へ円滑に移行できるよう、両制度の対象
職種や分野を一致させる。実習生の管理団体を存続した上で
許可要件を厳格化する。実習生の「転籍制度」は限定的に残し、
緩和する方向。という内容です。1933年に技能実習制度が創設
されてから30年経ち、廃止が打ち出された背景には、外国人
労働者に日本を選んでもらうために、この制度が人権侵害の温床
になっているという国内外からの批判を払拭する狙いがある、と
報じられています。建前と実態が乖離している制度をなくし、
労働力確保もきちんと目的に加え、特定技能制度と運用を一元化
することを目指すことは、評価したいと思います。一方で、見直し
の内容は、現在の制度の延長線上にあって、新しい仕組みは
ほとんどない中で、人権侵害や失踪の防止に実効性のある
制度になるのか、疑問の声も上がっていて、その通りだと思い
ます。外国人の労働力がなければ、成り立たない実態がある中
で、「労働力」ではなく、「労働者」が入っている、という基本的な
認識で、日本に来た人が、気持ちよく力を発揮できるものに
してもらいたいと思います。