熊本県で、2020年に、死産した双子の遺体を段ボール箱に
入れて自室の棚に放置したとして、死体遺棄罪に問われた
ベトナム人元技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リンさん(24)の
上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野裁判長)は、24日、
1、2審の有罪を破棄し、逆転無罪を言い渡しました。死産後の
一連の行為を具体的に検討し、遺棄に該当せず罪が成立しない
と判断しました。よかったと思います。事件によって、妊娠による
強制帰国に怯え、相談もできずに孤立出産に追い込まれる技能
実習生の実態が、明らかになりました。多額の借金をして日本に
きた実習生は、守られるべき人権の出産についても、その権利が
全く守られていない実情があります。遺体は、丁寧にタオルに
包んで、手紙も添えられていました。それなのに、なぜ1、2審は
有罪にしたのか。搾取され続ける、技能実習の制度を正す必要
があります。技能実習は、途上国への技能移転を建前に、低賃金
の外国人を人手不足の業種に送り込む実態があり、問題が指摘
されてきています。労働力が入ってくる、という考え方で、労働する
人が入ってくるという意識が乏しく、人権感覚がない事例が多く
みられます。政府は、有識者会議を設けて、制度の見直しを検討
しています。人手不足を補うために、新たに設けた特定技能の
制度と合わせて、働く人の人権を守る制度に変えていく必要が
あります。