政府が日本学術会議の組織改革の法案を通常国会に提出する

 

方針であることに対し、歴代会長5人が、昨日14日、岸田首相に

 

対して「根本的に再考することを願う」とする声明を連名で発表

 

しました。2020年に、学術会議の会員候補の任命拒否問題が

 

起きて以降、歴代会長が連盟で声明を出すのは初めて、と

 

報じられています。声明は、吉川弘之、黒川清、広渡清、大西隆、

 

山際寿一の5氏の連名で、学術会議の独立性と自主性を尊重し、

 

擁護を求める内容です。学術会議の独立性について「一国の

 

政府が恣意的に変更して良いものではない」としています。内閣府

 

の方針では、会員選考の際に外部の第三者委員会が介入する

 

仕組みを導入する、としています。これに対して、声明では、

 

アカデミーの世界では自律的な会員選考こそが「普遍的で国際的

 

に相互の信認の根拠となっている」とし「内閣府案はこれを毀損

 

する」と批判しています。また、法案について「法改正の狙いは、

 

任命拒否を正当化し、それを制度として法に組み込むことにある」

 

と説明しました。リモート参加した山極氏は、「首相は終わったこと

 

というが決して終わったことではない。理由を言わずに任命拒否

 

する権限が国家の最高権力者にあるなら忖度政治を助長する

 

ことになる。なぜ任命されなかったかを明らかにし、それをもとに

 

学術会議が改革案をつくればよい」と批判しました。この声明の

 

とおりだと思います。政府は、今の国会に法案を提出する意向と

 

いうことですが、一旦立ち止まって、再考すべきだと思います。6人

 

の任命拒否の理由も明らかにせず、政権や自民党は、大事な

 

問題を議論もせずに、性急に法案を出そうとしています。学術

 

会議のあり方は、これからの日本の科学や社会に大きな影響を

 

与えるので、禍根を残さないようにしてほしいと思います。