性犯罪をめぐる規定の見直しを検討してきた法制審議会の部会
は、3日、刑法などの改正に向けた要綱案をまとめました。強制
性交罪の要件見直しのほか、13歳だった「性交同意年齢」の
16歳への引き上げ、控訴時効の延長、「性的グルーミング罪」の
創設など、大幅な見直しになっています。被害者などの声が議論
を後押しし、被害者などは評価しつつ、時効の延長幅などで
さらなる改正を求めました。法務省は、法制審の答申を経て、
今の国会に法案提出をめざしています。現在の刑法では、
「被害者の抵抗が著しく困難」でないと、強制性交罪や準強制
性交罪は成立せず、基準があいまいで無罪判決が相次ぎました。
要綱案では、両罪を統合したうえで、処罰範囲を明確化する
ため、暴行・脅迫に加えて「恐怖・驚愕」「地位の利用」など8項目
の行為を例示しました。こうした行為によって被害者が「同意
しない意思」を「形成・表明・全う」することを困難な状態にさせる
という要件に改めました。一方で、被害者などが強く求めた
「意思に反して」という点だけを要件とした規定の導入は「内心
だけの問題になる」として見送られました。欧州の国などでは
導入している国が多いのですが。わいせつ目的を隠して子どもに
近寄る「性的グルーミング」対策として新設する罪では、威迫や
うそを伴う16歳未満への面会要求などを処罰します。さらに、
性的な部位や下着、性交の様子などの盗撮を禁じる「撮影罪」も
新設しました。今回の規定の見直しは、同意がない性交は性暴力
だという認識を社会に根付かせるために、一歩前進だと思い
ます。まずは、これを法制化し、さらに時効の更なる延長や
「意思に反して」は罪であることなどに発展させていってもらいたい
と思います。