厚生労働省の医薬品第1部会は、先月27日、妊娠を中絶する

 

ための経口薬について、製造販売を承認して差し支えない、という

 

意見をまとめました。承認されれば国内初の飲む中絶薬になり

 

ます。国内では、妊娠初期の人口中絶の手段は手術に限られて

 

いて、新しい選択肢として、女性の心身の負担軽減につながる

 

と思われます。この薬は、英製薬会社ラインファーマが、2021年

 

12月に承認申請した「メフィーゴパック」です。妊娠9週までが対象

 

で、妊娠の継続に必要なホルモンの働きを抑える「ミフェプリスト

 

ン」と、子宮の収縮を促す「ミソプロストール」の二つを組み合わせ

 

て飲みます。部会では、緊急時に適切な対応が取れる医療機関

 

で、母体保護法で指定された医師が投与することや、当面は通院

 

や入院で使用することを確認した、ということです。経口中絶薬

 

の承認は、子どもを産まない選択をした女性の権利と尊厳を守る

 

ということから、一歩前進だと思います。中絶薬は、1988年に

 

フランスで初めて許可され、すでに80ヶ国で使われています。

 

世界保健機関(WHO)は、効果的で安全な方法として推奨し、

 

妥当な価格で提供されるべき「必須医薬品」に指定している、と

 

報じられています。日本の、手術に限り、しかも子宮を傷つける

 

危険を伴う「掻爬法」から、管で吸い取る「吸引法」への切り替えも

 

遅れています。海外では、中絶薬の価格は、平均で800円弱、

 

とのこと。中絶薬の費用負担は、まだはっきりしませんが、公的

 

保険などで実質無料で処方される国もある、とのことで、負担が

 

少なく処方されることを望みます。また、ネックになると考えられる

 

のは、母体保護法で、配偶者の同意を中絶の条件としていること

 

です。厚生労働省は、中絶薬についても、この規定は適用される、

 

としています。産むか産まないかのを主体的に選ぶ権利がある、

 

と1984年にカイロで開かれた世界人口開発会議で、宣言して

 

います。国連の女性差別撤廃委員会は、法改正をして、配偶者

 

の同意を不要とするよう日本政府に勧告しています。この見直しも

 

進め、産む産まないの決定を女性ができるように、早急にして

 

ほしいと考えます。