世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で、悪質な寄付勧誘
規制を柱とした被害者救済法案は、昨日8日、衆院本会議で賛成
多数で可決され、参院本会議で審議入りしました。政府、与党は、
会期末の10日に参院本会議で採決し成立させる意向です。
被害者救済法案では、配慮義務の効果がどこまであるか、寄付
勧誘時の規定に曖昧さが残る等、課題も多く指摘されています。
それでも、野党の意見も一部入れて法案を修正し、被害を救済
する一歩となることは、評価したいと思います。「配慮義務」に
ついては、法人や団体が怠れば勧告や公表となっています。
①個人の自由な意思を抑圧しない ②寄付者やその家族の生活
維持を困難にさせない ➂勧誘する法人を明らかにし、使途を
誤認させない。 また、「禁止行為」については、違反すれば
行政措置や罰則となっています。取り消し対象は、〇退去困難な
場所へ同行 〇恋愛感情に乗じて関係が破綻すると告げての
勧誘 〇霊感を用いて不安につけ込む など6類型。取り消し対象
外は、〇借金などによる資金調達の要求 となっている、と報じ
られています。河野消費者担当相は、禁止行為に該当しない
被害でも配慮義務によって救済できるケースがあるとしています。
一方、被害救済に取り組む弁護士などは、効果を疑問視して
います。配慮義務の規定の多くは、すでに判例上違法性の判断に
組み込まれていて、規定するだけでは意味がない。ないよりはまし
程度だ、などと指摘しています。審議入りして5日での成立は、
拙速といわれていて、一歩前進ではありますが、多くの課題が
積み残されたままです。家族の救済策についても、民法の「債権
者代位権」を援用する仕組みでは、信者本人に資力がないことが
前提とされ、配偶者や子どもの請求権も限られるといった問題点
も指摘されています。新法は、3年後見直しを与野党の折衝の中
で2年後にしましたが、被害者などからは、すぐに見直しの議論を
してほしい、という声が上がっています。