臓器移植法が1997年10月に施行されて25年が経ちました。

 

脳死と判定された人からの臓器提供が可能になり、病気や事故で

 

臓器を移植しなければ治療できない患者から大きな期待が寄せ

 

られました。民法学者だった父、加藤一郎は、日本医師会の生命

 

倫理懇談会座長として、1988年に、「心臓死のはかに、脳の死

 

をもって人間の個体死と認めてよい」とする最終報告書をまとめ

 

ました。報告書は、日本医師会の正式見解とされ、医学界では、

 

臓器移植再開に向けた動きが始まりました。私も強い関心を

 

もってみてきました。議員をしている時に、虐待死に配慮しつつ、

 

子どもからの臓器提供を認める法改正も行われました。しかし、

 

臓器提供数は伸びず、今も年間100例に届かない状態です。

 

移植までの待機期間は腎臓で約15年、心臓で約3年、待機中に

 

亡くなる人も多い、ということです。内閣府の昨年度の調査では、

 

移植に関心が「ある」は6割を超え、脳死になった場合に臓器提供

 

を「したい」人も約4割いるのにです。日本人の死生観が、脳死を

 

認めにくい、ということは、当初から指摘されていました。脳死状態

 

でも身体は暖かく、心臓は動いているので、「死」と認められない、

 

心臓停止を死とする文化が根付いています。脳死が法的に死

 

とされるのは臓器移植を前提とする場合のみ、というわかりにくさ

 

もあるかと思います。文書などで意思表示をしている人は10%

 

しかいません。臓器提供をしたい人は、カードに記入して携えて

 

いてほしいと思います。私もずっと持っていて、臓器によって

 

望ましい年齢制限があり、それは越えていますが、可能な場合も

 

ある、とうことで、今も持っています。もっとこうした提供カードを

 

入手しやすくし提供希望者が持つようにすること、コーディネーター

 

の養成、専門の医師の増加などが必要かと思います。法律

 

があるのに有効に使われていないのは残念です。危険も伴う

 

体間移植を親族などが続けている状態が解消し、移植希望者が

 

脳死からの移植がしやすくなるよう願っています。