先月末、文部科学省が、北朝鮮による拉致問題に関する図書の
充実を要請した事務連絡を、各都道府県の教育委員会に送り
ました。12月10日からの北朝鮮人権侵害問題啓発週間に、
テーマ展示などにより、手に取りやすくする工夫も求めています。
人権や外交の問題として、拉致を取り上げた本や資料を図書館で
わかりやすく提供することは、あってもよいと思います。文科省は、
内閣官房の拉致問題対策本部から協力を依頼された、ということ
ですが、法的拘束力のない事務連絡とはいえ、現場への圧力に
なるのは、明らかです。日本図書館協会の「図書館の自由に
関する宣言」には、権力の介入、社会的圧力に左右されること
なく、自らの責任に基づき、収集した資料を国民の利用に供する
とあります。戦前の図書館が思想善導のための機関として国民を
強化、統制する役割を担った反省に立って、1954年に、この
宣言が採択された、とのこと。知る自由を保障することを最も
重要な任務に掲げています。私たち利用者も認識を新たにして、
公権力の不当な介入や干渉に向き合う図書館を支えたいと思い
ます。