性暴力の被害者が泣き寝入りしない社会にしたい、と名前と顔を

 

出して自らの性被害を訴えた、ジャーナリストの伊藤詩織さんの

 

民事訴訟の最高裁判決が確定し、闘いが区切りを迎えました。

 

元TBS記者から性被害を受けたと訴えた伊藤詩織さんが、20日、

 

今月7日付の最高裁決定で、元記者への賠償命令などが確定

 

したことを受けて、東京都内で記者会見を開きました。提訴からの

 

約5年を振り返って、「(性被害を受けた人の)声が少しずつ届く

 

ようになった」と述べ、訴訟について、「(精神的にも経済的にも)

 

当事者にはあまりにも負担が大きい」と語りました。伊藤さんは、

 

心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいます。また、SNS

 

などで、すさまじい攻撃と誹謗中傷を受けた、とのこと。伊藤さん

 

は、元TBS記者の山口敬之氏(56)から2015年に性被害を

 

受けたとして2017年に民事訴訟をを提起しました。東京地裁、

 

東京高裁は、山口氏が同意のないまま性行為に及んだと認定しま

 

した。最高裁が、今月7日付の決定で、山口氏の上告を退け、

 

山口氏に約332万円の賠償を命じた高裁判決が確定しました。

 

高裁は、伊藤氏が著書などでデートドラッグに言及した箇所に

 

ついては、「事実と認められない」として、伊藤氏に55万円の賠償

 

を命じ、最高裁決定で、この点も確定しました。伊藤氏は、「日本

 

の刑法では「同意がない性交」というだけではレイプにならないこと

 

に大きな疑問を感じ、そこを変えてほしいとの思いがあった。」

 

「(訴えてきたことに)後悔はないが、いろいろなことがありました。

 

一緒に声をあげてくださった方がいたのは、生きていくなかで

 

大きな支えになる」と述べています。伊藤さんの行動によって、

 

性被害の撲滅を訴える「フラワーデモ」が、各地に広がりました。

 

一方で、刑法の改正は大きな課題です。2017年の改正で性犯罪

 

が厳罰化されましたが、被害者の抵抗を前提とする「抗拒

 

(こうきょ)不能」の要件は残ったままです。性暴力に会った時、

 

恐くて体が動かないこともあります。同意のない性行為は許されず

 

加害者は罰則を科されるべきで、刑法の見直しが必要だと考え

 

ます。