同性婚を認めていない民法や戸籍法の諸規定は、「婚姻の自由」

 

を保障する憲法14条に違反するとして、愛知・京都・香川の

 

3府県の30~50代の同性カップル3組6人が国に1人100万円

 

の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(土井文美裁判長)

 

は、20日、いずれも「合憲」と判断、国の責任を認めず、賠償

 

請求を棄却しました。原告側は、控訴する方針です。全国5地裁に

 

起こされた同種の訴訟の判決は2件目です。昨年3月の札幌地裁

 

判決は、憲法14条に違反するという初の判断を示しましたが、

 

賠償は退けました、札幌地裁は、同性カップルが置かれた状況を

 

不平等だとし諸規定は差別に当たるとしたのに対し、大阪地裁は

 

不平等な状態は解消されつつあり、保護のあり方は「議論の途上

 

にある」とし、判断は分かれました。大阪地裁判決は、性的少数者

 

にとって厳しい判断です。「議論の途上」にあり、司法が積極的に

 

違憲と宣言するべき状況になりとして、救済に向けたメッセージを

 

発信せず、「法の下の平等」を軽視している、といえると思います。

 

大阪地裁は、憲法24条の趣旨は「封建的な家制度」を否定し、

 

婚姻の成立が「当事者間の合意」のみに委ねられると強調し、

 

同性婚を禁止していない、とは述べています。これは、札幌地裁と

 

ほぼ同様の解釈です。異なる判断となったのは、14条に対する

 

認識で、札幌地裁はどの性別を好きになるかという性的指向は

 

個人の意思で変えられず、同性婚を認めないのは「合理的根拠を

 

欠く差別」としました。これに対して、大阪地裁は「同性間の人的

 

結合関係にどのような保護を与えるかについては、議論の過程に

 

ある」と指摘し、現状では同性婚を認めなくても違憲ではないと

 

しました。多様性の尊重は、国際的な潮流です。同性婚を法制化

 

している国・地域は約30あります。国内では自治体で同性

 

カップルを公認する制度の導入が進んでいますが、国の動きは

 

鈍い、といえます。参院選では、多くの野党は同性婚の法的措置

 

の導入を公約していますが、保守派の力が大きい自民党は

 

触れていません。この点も、投票の判断材料のひとつになると

 

思います。