岸田首相は、27日、政府の外交・安全保障政策の長期指針
「国家安全保障戦略」など3文書改訂に向けた自民党の提言を
受け取りました。年末の閣議決定に向けて、本格検討に着手
する、ということです。提言は、相手領域内でミサイル発射を阻止
する敵基地攻撃能力を「反撃能力」と改称して保有するよう要請
しています。防衛費は、国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に、
5年以内に防衛力を抜本的に強化するため必要な予算水準を
目指す、と盛り込まれてます。自民党提言のポイントは、〇敵基地
攻撃能力を反撃能力に解消して保有。ミサイル基地に限定せず、
司令部を念頭に指揮統制機能等も攻撃対象 〇防衛費は国内
総生産(GDP)比2%以上を念頭に5年以内に防衛力を抜本強化
するため必要な予算水準を達成 〇防衛装備移転三原則や運用
指針を見直す。侵略被害国への幅広い分野の装備の移転を可能
とする制度を検討 〇中国は重大な脅威。ロシアは現実的な脅威
に情勢認識を引き上げ というものです。政府が、長年、政策判断
として持たなかった「敵基地攻撃能力」を改称して保有する、という
ことは、憲法の専守防衛に抵触するのではないか等、議論を
深めるべきことが盛り込まれていて、懸念を持ちます。また、攻撃
目標に、ミサイル基地だけでなく、「指揮統制機能」を加えました
が、それが軍の司令部なのか、都市部の政府機関なのかや、
どの国を想定しているのかも、あいまいなままです。防衛の名の下
に、軍備を拡張し、専守防衛ではないことをすることには、反対
です。少なくとも、国会でしっかり議論し、国民の声を聞く必要が
あります。