内閣府は、25日付けで「家族の法制に関する世論調査」の結果を
発表しました。選択的夫婦別姓制度について、導入を求める回答
は28.9%、夫婦同姓の制度を維持した上で「旧姓の通称使用に
ついての法制度を設けた方がよい」が42.2%、夫婦同姓の維持
は27.0%でした。前回2017年の調査から設問を大きく変更
した結果、選択的夫婦別姓に賛成の割合は42.5%から大幅に
減りました。野田聖子男女共同参画担当相の野田聖子さんが
「現実とかけ離れている」と批判した、と報じられています。私も
同感です。世論調査は、設問の仕方によって、回答を誘導する
ことができます。毎回、同じ設問をすることで、傾向がわかるので、
設問を変えることは、意図的のように思えます。前回の調査では、
選択的夫婦別姓制度の導入に向けて、民法を「改めても構わ
ない」かどうかで尋ねていましたが、今回は「選択的夫婦別姓
制度を導入した方がよい」として、従来と並び順も入れ替えた
結果、通称使用の選択肢が先に来る形になった、とのことです。
年代別でみると、選択的夫婦別姓を選んだのは、18~29歳が
最多の39.9%で、30代も38.6%でした。一方、60代は25.7
%、70歳以上は15.1%でした。回答者の半数以上を60代
以上が占めていた、とのこと。これから、社会で長く生きていく、
これから選択して別姓を選ぶかどうかを判断する当事者になり
やすい若い人の意見が尊重されるべきだと思います。高齢者の
回答が多いという、現在の世論調査の限界が表れていますが、
これは今始まったことではありません。やはり、設問やその順番を
変え、これまでの調査員による個別面談聴取から郵送にしたこと
など、調査方法の変更が影響していると思います。「通称使用」と
いうと、一見よいように見えるかもしれませんが、現在の通称使用
では、300万円以上の取引、いくつかの資格の取得、健康保険証
の名義などには使えず、結局、戸籍名と通称を併用しなければ
ならず、煩雑になり、利便性はよくありません。こうしたことを正確
に説明して回答を求める必要があると思います。これで、選択的
夫婦別姓制度の導入を急ぐ必要がない、という理由付けにされる
ことは、納得できません。